63.わたしたちも、友情を

「ありがとうシオリ。魔物、倒してくれたでしょ?」

ラントへ戻る途中で、隣に並んだシェリアがそう言って来た。
アスベルとも和解出来て嬉しい彼女は、今とても幸せだとばかりに笑顔を浮かべている。

「あぁ……でもあれ、シェリアに教わった術だし」
「だから尚更嬉しいのよ。ふふ、やっぱりシオリの方がずっと素敵だわ」

ありがとう、と笑うシェリアになんだか照れ臭くなる。
なんとか話を続けようとするが、ダメだ、上手く言葉が出ない。なんだか、とても照れてしまっていた。わたしが好きっていうのはいいけれど、こうやって誰かに好意を返されるのは、なんだかとても弱い。
えへえへと照れるしかできないでいれば、前を歩いていたソフィが足を緩めて、隣で首を傾げた。

「シェリアとシオリも友情の誓い、する?」
「え?」
「あ、じゃああたしもしたい! あたしとソフィとシェリアとシオリの4人でやろうよ〜」

マリクさんと会話していたパスカルまで食いついて来て、ふはっと噴き出してしまう。
なんだか可愛らしい。あと、やっぱり照れ臭い。

「いいねぇ、やろっか? 友情の誓い……ちょっと憧れてたんだよね」

でも先程から“友情の誓い”が羨ましくてたまらなかった身としては、断る理由なんてどこにもない。それどころかノリノリである。
そう返せば、それを見ていたマリクさんが実に微笑ましそうに見て来た。

「女子群は随分と仲良しだな」
「なに教官、羨ましい? 別に教官とだったらやったげてもいいよ〜?」
「ほぅ、ではやるか? 友情の誓い」
「でも木、あるかな? いいの」

確か木に名前を彫るんだよね、と言えば、どうやらその過程を知らなかったらしいパスカルは首を傾げて、忘れていたらしいソフィは黙り込んだ。
しばらく悩んで、たたっと前を歩くアスベルに近付いて、その旨を話す。そうしてると、本当に親子みたいで可愛らしい。

「さっきのアスベルとシェリアみたいに手を重ねるだけでも平気……だよね?」
「木に名前を彫るっていうおまじないだからな……まぁいいんじゃないか? 大事なのは気持ちだろ」

さっきもそうだしな、と頭を撫でたアスベルに、ソフィは嬉しそうに頷いた。

「……私はシオリとならそれ以上でも構わないから、簡略してもなんでもいいわよ?」
「え?」
「なんてね」

……さすが幼馴染。最後にどきりとさせてくるところがそっくりだ。