質問です。ロックガガンとはどのような生物でしょう?
「答えはあんなんです……!?」
「う〜ん、あの大きさはさすがに予想外だなぁ」
ユ・リベルテへ向かう街道で実際に出会ってしまったロックガガンはデカかった。とにかくデカい。なんか、もう、視界が全部ロックガガンで埋まってしまうくらいに大きい。
一応、彼はまだ遠くにいるはずなのだ。だというのにロックガガンが動き度に地面は揺れ、はっきりとそれが生物であることをこちらに示してくる。
ゴツゴツとした表面は、なるほど確かに岩石獣と呼ばれるのは納得だ。岩が動いている、と言った方が正しいかもしれない。
だんだんよく見えるようになって、可愛くはないが愛嬌のある顔にも見えてきて、ここまで大きく育つと確かにもう失いたくないよなあ、なんて的外れなことを考えた。
「……ってうおっ!? こっちくるよ!」
パスカルが叫んで、ようやくそれが近付いている事に気付いた。
大きすぎて遠近感がわからなかったそれは、もう随分近くまでやってきたらしい。見上げると顔の上半分どころか、下半身も見えない。
オル・レイユの港くらいなら数回で食べられそうな大きな口を大きく開いて……そして勢い良く、わたし達に突っ込んで来た。
「おいっシオリ!」
「うん……?」
体を揺すられて、名前を呼ばれて。ぱちり、と目を開く。
ぼんやりとした視界いっぱいに、ほっとした様子のアスベルが映った。
「大丈夫か?」
「ここは……」
まだぼんやりしたまま、アスベルに手伝って貰って立ち上がる。
薄暗いそこだが、みんなちゃんといる。どこか生臭さを感じるこの空間は、なんというか……どこか生物らしさを感じて首を傾げた。
どうしてこんなにでわたしは寝ていたのだろう。わたしだけじゃない、みんな倒れているなんておかしい。何があったんだっけ。
思い返そうとすれば見たのはロックガガンが大きな口を開いたところ。それから、一気に視界が暗くなって、それから、ええっと……つまり?
「ふむ。どうやらオレ達は奴の腹の中にいるようだな」
「お腹の……中……?」
「うそ……」
みんなが意識を取り戻した後、マリクさんの冷静な言葉に、思わず後退りする。
ここ全部胃の中って……わたし達全員が余裕で存在することができて、かなり自由に動き回れそうなほどに広くて、それだけでもびっくりなのに景色が遠くまで広がっているこの場所が、全部胃。
どれだけデカいんだ。
「いや〜いくらなんでもここまで大きいとは思わなかったよ」
「パスカル、随分楽しそうね……」
「……あ、でも、ここ、暗いし涼しいし、砂漠よりなんかずっといいかもしんない」
「シオリまで……しんっじられない……」
まだ気持ち悪いけど、砂漠の中よりも楽になったかも、と言えば、シェリアが力無くうなだれた。
ううん、確かにシェリアにはかなり嫌な状況だろうな。いかにも女の子という趣味傾向だし、かなりの清潔好きだし。いやわたしも汚いのはそんなに好きじゃないけどさ。掃除好きなわけでもないし。
なんとなく自分に言い訳とかしていると、ソフィが何気なしに近くにあった石のようなものに触れた。
途端にネチャリと嫌な音がして、ソフィの指との間に糸を伸ばした。
「ねばねば……」
「いやああっなにこれぇ……!」
「胃の中って事は……胃酸?」
なんでもないように言うパスカルに、わたし達は一度顔を見合わせる。
そしてサアッと顔を青ざめて、慌てて話を進めた。
「急いでここから出よう。胃酸で溶かされても困る」
「先に進めそうなのはどっちだ?」
「行けるとしたらあっちかな。口の方に通じてるといいね。そうでないと、お尻の方から出ることになるしね」
「それだけは絶対嫌! もう、しんっじられない!」
「ま、まあとにかく、早く出発しようよ。進んだ先が頭であることを祈ってさ」
「そうだな。急がないと消化されて結局尻から出るハメになるぞ」
「い、いやあぁぁ〜……」
ついに泣き出してしまったシェリアを、傍にいたソフィが撫でてやる。
でもソフィ、そっちの手って……いいや、なんでもない。