ロックガガンは体内に魔物も飼っているらしい。いや、魔物も人間も建物も岩もその他も関係なく飲み込んでいる、というのが正しいだろうか。スライムみたいだったり虫みたいだったりするそれらを退けつつ進めば、やがて小屋のような建物を発見した。
丸ごと飲み込んだらしく、小屋の外見も中身も綺麗なままだ。そこにあった誰かの記録日誌によると、寄生虫でロックガガンが苦しみ暴れているらしいという事がわかった。
とりあえず外を目指しつつ、寄生虫がいれば対処する方向で散策を続けるが、歩ける範囲のギリギリまで来てもここから出ることは難しいようだ。
「いつまで進めばここから出られるのかしら……」
「う〜んどうだろうね〜。一生ここで暮らす事になったりするのかな〜」
「パスカル、相変わらず楽しそうね……」
シェリアは随分と参っているらしい。
まあ、ここまで来るだけで何回も「お尻」だのなんだの色々言ったしね。下世話な話題が苦手な子には辛いだろう。わたしやソフィはパスカルは平気どころか若干楽しんでいるけれど、そこはどちらかというとアトラクション気分である。
「もし本当にそうなったとしたら……シェリアがお母さんでアスベルがお父さんで、パスカルとソフィが仲良し姉妹とかになるのかな〜」
「いいねそれ! ロックガガンの中の家族、なかなかいいね〜」
なんとなく閃いて言ってみれば、すぐにパスカルが反応してくれた。
なんちゃって家族の想像が楽しいらしくて体を揺らすが、ソフィはキョトンと首を傾げてみせる。
「……シオリと教官は?」
「わたしは……最終的にみんなの旦那さんになるんです」
「教官はねぇ〜」
キリッと言えば、パスカルが続きを引き継いで、マリクさんをじぃっと眺めながら考え始めた。
アスベルやシェリアが「シオリが旦那さん……」とかポツリとどこか嬉しそうに呟いたのを聞いて、彼女にとって気分転換になれたかと安心する。ずっとぐずってたしね。
アスベルも、ヒューバートさんの事を気にして思い詰めていたみたいだから、良かった。
とか思っていれば、マリクさんのポジションを思いついたらしいパスカルが手を叩いた。
「……おじいちゃんかな?」
「パスカル!」
「い、いやだなぁ、冗談だってば、そんなに怒らないでよ〜」
「違う、後ろ!」
叫んだマリクさんにパスカルがわたしの後ろに隠れようとして、彼女の方へと視線を向けたことで気付く。
さっきまでパスカルがいた場所の後ろ……正確にはそこにある渦巻き貝のような柱の上に、紫色の大きな虫がいたのだ。
あれは、ロックガガン体内で何度も遭遇した寄生虫と全く同じ形である。むしろそれより大きい。今までのそれと全然違う。
「うわああ! でた!」
「紫色の寄生虫! こいつか!」
降りてきたそいつに、わたし達は一斉に武器を構えた。