11.もう一度、名前を
あらすじ。
わたしとソフィがラントを出た翌日。
アスベルはリチャードに最近世間を騒がせている魔物についてお呼びがかかったらしい。
そこにはシェリア、ヒューバートくん、マリクさんも呼ばれており、その5人でウィンドルの大輝石の地下遺跡に行って調査をしていた。
そこでいろいろとあって、ラムダが目覚め、いろんな疑問その他を片付けるためにパスカルの意見を聞きに来たら、わたしたちがいた……とのこと。
わたしたちがのんきにトランプをしている間に、知らない物語がたくさん進んでいたらしい。
「ラムダ……アスベルの中のラムダが……」
「安心しろ。前のようにはならないから。俺はお前と戦ったりしない。大丈夫だ、ソフィ」
そう会話したのはさっきのこと。
その後ずっとだんまりなまま、列の後ろまで下がってしまったソフィを、みんながちらちらと気にしていたのだけれど……まだ家出同然にラントを出た理由もわかっていない状態では、何をどう声をかけたものかわからず、みんな様子をうかがうしかできないでいる。
そんな中で、一番に声をかけたのは、リチャードだった。どうするのかと後ろに聞き耳をたてる。
「ソフィ……アスベルは大丈夫だよ、きっと」
「リチャード……」
「僕がラムダに取り込まれた時とは違う。アスベルにはラムダの心に真っ正面から立ち向かえる強い意志がある。だから……たぶん大丈夫だ」
「ありがとうリチャード……それと、ごめんね」
「え?」
「半年前の事……ちゃんと謝らないとって思ってた」
「いや……! 君が謝る必要はない! 僕こそ! ……すまなかった」
「うん……友達、だよね」
「ああ、友達だ」
「では! オレ達も友達だ!」
割り込んだ声にガクリと肩を落とす。
二人の会話にほっこりしていたのに。ちょっとマリクさん、何故そのタイミングで入っていったんですか!
「教官も……?」
「ソフィ、このおじさんは危険だ。あっちへ行こう」
「教官! 危険なの!?」
「ああ、オオカミだ」
「はっはっはっ陛下、相変わらず冗談キツいですな」
リチャードがソフィを連れて前へと出て行くのを笑って見送って、わたしはそっとマリクさんに近付いた。
現在のわたしの父親殿に、ジトリとした目を向ける。
「……今のは場を和ませたかったんですか?」
「当然だ」