シャトルの入り口のすぐ傍に設置された、アイテム補給専用の機械の前で、アスベルはぐったりと肩を落とした。
なんか知らないが緊張……いや、気負ってた? らしい。先ほどの会話に気負うところなんてあったかな。ああ、せっかく娘になったソフィがもうお嫁に行っちゃう……いやあの場合はお婿になっちゃうか。ということで驚いてしまったのかな。
「……どうしたの? アスベル」
「いや……」
なんだろう。
なんか、つい構ってやりたくなるような感じだ。
久しぶりにアスベルが年下だって認識してしまって、くすくすと笑ってしまう。アスベルもなんとなく同じ事を考えてたのか、少し頬を赤らめながらわたしを見た。
「……シオリは女性にモテモテだな」
「あは、それはアスベルもだと思うよ?」
「俺は全然モテないさ」
「出たよ鈍感……バロニアにいたメイドさんなんかはわかりやすいと思ったけどなぁ」
ひとしきり笑って、ふと気付く。
今他のみんなは座席エリアに居て、ここにはアスベルとわたしだけだ。つまりその、ふ、二人きり……という状態、である。
それに気付いて、わたしは勝手に顔が熱くなっていくのを感じた。
だ、だってこれ、今ってその、チャンスなんじゃないか?
今なら言えるんじゃないか?
今だったら1日をくださいとか、言えるんじゃないか?
「……あ、アスベル!」
「え? なんだ?」
勢いをつけて名前を呼ぶ。
呼んで、……よん、呼んだ、けど、続きが出ない。
緊張して口が戦慄いて、うまく言葉が出て来ない。
「あ、の、えと、や……」
「や?」
「約束の、をだね……」
なんとかそこまで言って、アスベルも言いたいことを理解してくれたらしい。
ああと笑って、わたしと向き合った。
「そうだな。今の内に、約束のお願い事を聞かせてくれないか? 今なら結構自由に動けるからさ」
「う、うん、ええっと……」
どくんどくんと心臓がうるさい。
体が震えてしまう。
いうだけ。言うだけなのに。答えは絶対にいいよ、に決まっているのに。どうしてだか全然上手に言葉にならない。
「あの、ね」
いかん、泣きそうだ。どうしよう。ちゃんと顔も見れない。どうしてこんなに緊張してしまうの。
大丈夫だわたし、別に告白するわけじゃないんだから、大丈夫。
大丈夫、言える……!
「わた、わたしと……」
目の前でアスベルが静かにわたしの言葉を待ってくれている。
わたしは大きく息を吐いて、そして今度はわたしから彼を真っ直ぐに見た。
「いちに」
「アスベル、シオリ。フォドラに着いたよ」
ガン、と頭を壁にぶつけた。
じんわり広がる痛みが、わたしの中にあった勇気だとか決意だとかを急速に縮めていく。
……ソフィ、君は実にタイミングをわきまえた子だよ……
「だ、大丈夫かシオリ?」
「……どうしたの?」
「い、いや! なんでもないよ、ねぇアスベル!」
「あ、ああ?」
ごめんなさい言えませんでした。
一緒に遊ぼうも言えないわたしは確かにへたれです。