座席に戻って見るフォドラの景色は、相変わらず寒々としたものだった。
普段、ウィンドルの豊かな緑あふれる光景を見ているリチャードにとっては、特に殺伐としたものに見えるだろう。種も芽吹きそうにない、荒れ果てた茶色い土塊ばかりの場所に、初めてここを訪れたリチャードは僅かに顔をしかめた。
「……ここがフォドラか。本当に寂しい所だね」
「大昔はものすごく栄えていたはずなんだけどね」
「……あれ、なにかな」
ぽつり、呟いたソフィの視線の先を辿ってみれば、そこに何か光のような物が見える。
なんだろう。よーく目を凝らしてみる。光が柱のように伸びるそこは、たぶん、森……だと思う。あそこだけ色が違う。特に光が漏れる場所は、花畑のようだ。
「花畑?」
「綺麗……」
思わずみんなの口から言葉がもれる。
先ほども言ったように、フォドラは生命の息吹を感じられない星だ。そこに、一か所だけとはいえ森が、しかも花畑があるだなんて信じられない。長い年月をかけて、再び命が生まれ出したのだろうか。それとも、これこそが、フォドラの星の核に何かがあった証拠?
わたしはもっとその場所をよく見ようと目を凝らして、ふと、光の柱の中に誰かがいるのが見えた。
遠くてよくは見えないが、少女のようだ。
ソフィも気付いたのか、驚きの声を上げるのが聞こえる。
「あの子……!」
美人だ。
なんとなくわたしの中の本能がそう言っている。
すらりとしたシルエットの彼女は、たぶんこちらを向いたらしい。
そして、彼女の近くが風によって僅かに揺れたような感覚。
光が彼女の手に吸い込まれるように消えていき……そしてそれは、さながら波動砲とでも言うかのようにわたし達に向かって放たれた。
「うわ!」
シャトルに直撃したらしい。
舌を噛んでしまいそうな衝撃が襲いかかって、シャトルが不安定に揺れる……いや、落ちる。
「落ちてる!」
「パスカルさん! なんとかならないんですか!?」
「そんな事言ったって〜!」
ガチャガチャと操作盤を操作しているらしいパスカルから悲鳴が上がる。
それだけでわかる。操作不能とのことだ。
その間にもシャトルはどんどん傾いていく。見覚えのある造形をした町に向かって、真っ直ぐに落ちる。
「あれは、テロスアステュか!」
「これって確実に直撃コースじゃ!」
「ひええええっ!」
もうダメ……わたし達は衝撃に備えて、ひたすら身を縮めることしか出来なかった。