23.またしても、不時着

「ふひ〜、死ぬかと思った〜」
「むしろ、なんで無事……」

シャトルから這い出して、わたし達はほうっと息をつく。
幸運か悪運か。どうやら操作不能になったシャトルは、上手くテロスアステュに落ちたようで、みんな打ち身や擦り傷があれど特に大きな怪我はしていない。
とっくに痛みが消えてしまった体をさすりながらも、その事にわたしは安心した。
……どの程度までかは知らないけど、わたしは大抵の傷はすぐに治る。でもみんなはそんなわけにはいかないから。だから、みんなが無事で本当に良かった。

「ここはフォドラの街なのか?」

そう問うのはリチャードだ。
きょろきょろと物珍しそうに辺りを見回している。

「今は見る影もありませんが、昔は結構な都市だったようです」
「繁栄の跡か……物悲しいね」

ここで、どんな人たちによってどんな生活が営われていたのかは、もう誰も知らない。それでも確かに、繁栄していたのであろう町の残骸として、壊れてしまった柱や抉られた床を見て、リチャードは表情を曇らせる。
彼は王様だし、ずっと遠い未来には、自分の国が同じようになってしまうかもしれないと考えているのかもしれない。永遠の繁栄なんて無理だとわかっているけれど……それでも。こんな風に打ち捨てられて、風化することなんて、だれも望んでいない。
なんとなく黙り込んでしまうと、その隣で、ソフィも何か悩むように顔を俯かせた。

「あのお花畑の子って……」
「目の錯覚じゃないのよね?」
「俺も確かにこの目で見た」
「紫髪ショートカットでちょっと凛々しい顔立ちのスレンダーなクール系美少女だった」
「よく見てるわね……」

美少女でしたから。
呆れるシェリアに自信を持って言う。
まあ、そんなにハッキリ見えたわけではないから、実際はもうちょい違うかもだけど、だいたいそんな気がする。

「生き残っている人がいるって事かな」
「そうだとしても、枯れた大地の中であの生命力は不自然だ」

原素が溢れているのを確認出来たのは最近だ。あの場所が、ラントの裏山にある花畑のように、原素が集まる特別な場所だと言うのなら、あそこだけに自然が戻ったこと自体はまだわかる。
でも、あの少女はわからない。仮に生き残った人がいたとしても、今日まで生きていられるはずがないし……かといって、急に人間が生まれるなんてことはあり得ない。今も動くヒューマノイドはいるけれど、それとは少し、違う気もする。

そう話し合う頭上で、ブォンという音が鳴った気がして、みんなは慌てて身構えた。音の出所を探るように視線を動かして、空を見て……そして、そこに数体の魔物が飛んでいるのが見えて、思わず息を飲む。
……確かに、この地にも魔物はいた。ほんの少し、きっと生き残るために必死に進化した魔物が。でも、いくらテロスアステュが半ば廃墟だからって、街の中に魔物が入ってくるなんて!

「今のは魔物か!?」
「来るよ!」