24.光、誘われて

ハーピー系の魔物が、テロスアステュの上空を旋回する。
しかもそれは1、2体なんかじゃなく、もっとたくさんいるようだ。
それら全部の相手は辛いなぁと、わたしは大きく後ろに下がって詠唱を始めた。

「光陽、其は気高き姫君の流星、分かたれし星屑繋ぐ、孤独なる光……クロスシャイニング!」

敵としてマーキングした魔物達に街ごと潰す勢いで流星雨を降らせる。
もちろん、マーキングした魔物だけにダメージを与えたそれに、テロスアステュにいた彼らはほとんどが動けなくなった。
この半年の間に覚えたものの一つだ。派手なわりに他のとそこまで威力が変わらないのがたまに傷だけど、殲滅戦なら得意だ。
人生、ずっと勉強……なんて思っている間に、残りの魔物も片付いたようだ。

「なんとか片付いたか」
「これからどうします?」
「まずは街の中で情報収集だな」
「わかりました」

街中を歩いて見るが、特に前と変わった事は無さそうだ。
相変わらず寂寞としていて、静かで……ただ違うのは、倒れているヒューマノイドの数が増えた事だ。
それが魔物のせいなのか、永遠に等しいその生を終えたからなのかはわからないけれど。
暫く歩いていると、たまたま入った部屋の中で見覚えのあるヒューマノイドが……前にエメロードさんと一緒にいた“サイ”というヒューマノイドが倒れているのに出会った。

「サイ」
「サイくんまで……そんなに同時に寿命とかあるのかな?」
「一体、何があったんだ」
「なになに〜、どれどれ〜」

近付くと、サイくんはただ倒れていただけで、まだ壊れてはいないらしい。わたし達に気付いてゆっくりと起き上がった彼は、わたし達の質問に近くの映像装置を指差す。
パスカルがそれを動かすと、どうやら数日ほど前に撮影されたらしい、テロスアステュの映像が浮かび上がった。
いつもと特に変わらないその中で、ぼんやりと光が浮かび上がる。
そして……まるでその光に誘われるかのように、テロスアステュを魔物が覆った。

「これは!?」
「今の光はフォドラの原素かな。う〜ん、でも、だとすると……」
「こっちの地図に載っているのは何かの施設のようだけど」
「んっと……原素……研究所……? フォドラの核を調べていた施設みたいだね。ふ〜ん」
「場所はわかりますか?」
「うん、シャトルに座標を転送すれば行けるよ……は〜い、準備完了! これでばびょっと行けるよ」

軽快な指捌きで入力したパスカル。
それからマリクさんに目を移せば、彼は慎重な様子で頷いた。

「街にまで魔物がいたこの状況では外は危険かもしれんな」
「サイ。研究所が今どうなっているかわからないか?」

ふるふる。
サイくんは首を降る。

「実際に行ってみるしかなさそうだね」
「ああ」

話が纏まると、今まで黙っていたソフィがおずおずと近付いてきた。
彼女はパスカルを上目遣いに見ると、どこか思い詰めたように言葉を紡ぐ。

「パスカル。お花畑の場所はわからないの?」
「結構飛ばされたからね〜、大体の方角ならわかるけど?」
「あのね……わたし、あの女の子に会わなきゃいけない気がするの」

絶対、とでも言うようなその声に、パスカルはアスベルを見た。
一存では決めかねるという意味らしい。
アスベルも悩むように指を顎に当てた。

「どうする、アスベル」
「まずは研究所だ。その後で花畑も調べてみよう。あれは、俺も気になる」
「わかった。ソフィもいいかい?」

こくり、頷いたのを見て、わたし達は街の外へと向かった。