「ここが施設の制御室みたいだね」
先程とは違って薄暗い場所。
真ん中に巨大な装置があり、その周りにも操作盤などがたくさん密集しているが、基本的にそれ以外のものは置いていないようだ。
どの研究施設も似たような配置である。
「ちょっと待ってて」
たたっとパスカルが操作盤に向かう。
その途中には、数体のヒューマノイドが倒れていた。
どれももう機能は停止しているらしい。朽ちることのない遺体が無造作に転がる光景は、あんまり気分のいいものではなかった。
「う〜んと? これかな?」
操作盤の音に反応して、真ん中の巨大な装置が広がるように起動する。
赤い赤い光がそこに楕円状に広がって、暖かいような怖いような、よくわからない感覚を感じさせた。
鼓動するような赤いこれは、フォドラの星の核の様子を映しているのだろうか。
「なんだ、これは?」
「エフィネアの星の核とはまったくの別物だな」
「生きているみたいだ……」
誰かがそう呟いた時だ。
急にガクンと膝をついてしまいそうな地響きが起こる。
もともと古い施設は一部ガラガラと音を立てて崩壊を始めて、わたしは思わず近くにいたアスベルの服を掴んだ。
シェリアはソフィと手を繋ぎ、一人離れたパスカルのもとへはヒューバートくんが近付く。
「様子が変です、皆さん気をつけてください」
「うわっ」
「パスカルさん!」
ビリッと電気が流れて驚いたパスカルを抱き締めるようにしてヒューバートくんが庇う。
どさくさに……なんて思ってられない。
地響きは止まず、ソフィが警戒の声を上げた。
「何が起きたんだ!?」
「みんな、気をつけて!」
赤い星の核を映していた装置が破裂するように壊される。
そこからはなにかモグラのような、だが目鼻の確認が出来ない不透明な魔物が飛び出してきた。
大きなそれには足も無く浮いていて、今までの旅の中で見たことがない。
「こんな魔物は見たこと無い! 構えろ!」
合図と共に魔物はくるくると旋回しながら突撃してくる。
素早くみんなは後ろに下がって避け、切りかかった。
「遠慮はしない!」
「見切った!」
「絡み付いたら離さないぞ。バインドゴースト!」
魔物の一撃は重いが、上手く後ろを取って攻撃を繰り返す。
だが魔物はのけぞらない。
決定的な隙が生まれないままちまちまとダメージを与える……それは思っているより辛い戦闘だ。
「断空剣!」
「疾風星牙……あーもう!」
長期戦は嫌になる!
大きく振りかざされた腕を転がりながら避けて、わたしはひたすら後衛のみんなのもとへ行こうとする魔物の足止めをする。
そうしていれば詠唱を終えたらしいマリクさんの合図が響いた。
それに合わせて、魔物を囲んでいたみんながその場を離れる。
「始めるぞ! 続けてくらえ! 震天裂空斬光旋風滅砕神罰割殺撃!」
突風が起こり地が割れ光が降り注ぎ、なんだかたくさんの属性の魔術が続けざまに……だがほとんど同時と思えるようなスピードで魔物に襲い掛かる。
さすがにその怒涛の連続攻撃に耐えきることは出来なかったらしい。
やがて魔物はふらりとその巨大を傾かせてそこに倒れ伏した。