相手の隙をうかがうように見つめ合って、ほとんど同時に地を蹴る。
相手はずっと幼いくせに、動きはわたしとそう変わらない。
むしろ小さい分小回りがきいて素早い……でもわたしだって、伊達にみんなと旅を重ねていないのだ。絶対に、負けられない。
『やあっ星羽!』
「疾風星牙! 流転星蹴!」
彼女の技をかいくぐって突きをいれ、更に回し蹴りで吹き飛ばす。
アスベル達が心配するし、実際そんなに強いわけじゃないからあんまり前に出ないけど、もうこの世界に来たばかりの時のわたしじゃない。戦い方は覚えているし、みんなの動きも後ろからよく見ていたから、どう動けばいいのか、ちゃんとわかる。
見守ってくれてるみんなの為にも、武器を握り直した。
『置いてきたもの、全部捨てちゃうの? もっとちゃんと、いろいろ出来たのに!』
「もしも違う形でも、見送ってくれる……てゆうか、だからこそわたしは、こっちでちゃんと生きなきゃいけないの! 煌華星葬刃!」
『うぁあっ』
「落流星!」
横に切り付けて、勢い良く打ち付ける。
自分を攻撃するってなんか不思議な感覚だけど、だんだんと自分が落ち着いていく感じがする。
ひとつひとつをちゃんと、見ることが出来る気がする。
『くっ……クロスフレイム!』
「クロスサンダー!」
地から天へ、天から地へと落ちる炎と雷の塊がぶつかり合う。
使える輝術も同じなんだ。
でも……まだわたしの方が、早い!
「水煙、其は猛き蒼姫の落涙、地に降り注ぎ裁くは浄化の光……クロスウェイブ!」
素早く水の輝術を唱えて放つ。
いつもよりずっと楽に唱えられたそれは彼女の周りを旋回し、飲み込もうとする。
だが……水を操ることに関して、彼女は随分とレベルが高いらしい。
同じ技を急いで組み上げると、自身へのダメージを最小限に留めた。
それでも、わたしに向けて放つ言葉は泣き叫んでいるようだった。
『大嫌い……もう、大嫌い! ここにいるみんなもわたしも、大っ嫌い!』
「わたしは……大好きだよ」
わたしはずっと、わたしのことが好きじゃなかった。
自分が嫌いだから、それを隠すように他人を好きになった。
でもずっと、誰かに好きになってもらいたかった。
そうしたら、やっと自分を好きになれる気がしたから。
だから、すごく嬉しかった。
だから、わたしは。
「わたしの代わりにわたしを好きだって言ってくれるみんながいるんだったら……少しくらい、好きになってもいいよ、わたしを」
今もわたしを信じて見守ってくれるみんなが、大好きだから。
だからわたしも、そんなわたしを好きになれるって、思ったんだ。
『悔い改めよ! 我と汝を阻む奔流、荒れ狂う流動の水よ!』
「悔い改めよ! 汝を裁くは絶えず流るる、流動の水!」
二人して同時に声を張り上げる。
自分に可能な範囲で最大の輝術を組み上げて、そしてそれを凝縮して……一気に、降り注ぐ。
「『アクエリアス・スフィア!』」
わたしの一番の技は二人の間でせめぎ合い、そして……僅かな差で、わたしが押し勝った。
あの日の雨のように、今度は幼いわたしに水が打ち付けた。