直撃を受けた相手はしばらく倒れたままだったが、やがてゆっくりと起き上がった。
その体にもう傷はない。彼女もわたしと同じで、すぐに傷を治すことが出来るらしかった。
けれどもう、武器を構えることはしない。
ただ静かに、どこか寂しそうに、不安そうにわたしを見る。
『……本当に、いいの?』
ぽつりと呟く。
それはとても小さな声で、今にも泣きそうだった。
『大嫌いだから好きになって、それでも……それでもやっぱり怖くて、だからわたしを生み出したのに。行っちゃうの?』
わたしは一度目を閉じて、深く息を吐く。
もう、行く。
わたしは歩く。
そう、笑ってみせる。
「……大好きな人に大好きって言ってもらえたらね。凄い、幸せだったんだ」
だからもう、平気だよ。
それでもまだ不安そうだったけど、彼女は確かに頷いて、わたし達の前から溶けるように姿を消した。
それをしっかりと見届けてから武器をしまって、くるりと振り返る。
ずっと見守ってくれていたみんなに、わたしはいつものように笑いかけた。
「……よし! じゃあささっとリトルクイーン探しに戻りますか! ごめんね、時間とらせて」
「ううん。シオリが居てくれるならいいよ」
ぺた、とわたしにくっ付いて来たソフィを思わずギュッと抱き締める。
ああもう可愛い。
もうこれだけでもこっち選んで正解だったと思える。単純だけど。
「シオリっ!」
「うおっ」
後ろからの衝撃にゴツンとソフィの頭にぶつかる。
意外に痛いんだが、ソフィは特に気にならなかったらしい。うーん、石頭。
飛びついてきた本人も、ただただ嬉しそうにわたしに抱き付くだけだ。
「あ〜んしあわせ〜、シオリのこともずっと触ってたい!」
「ちょ、ちょっとパスカル、ずるいわ。私だって……」
わたし今ハーレムかもしれない。
ちょっと空気の読めない発言だけど、でもこうして女の子三人に愛でられるのに悪い気なんかしない。
思わず笑顔になってしまえば、その様子を見ていたヒューバートくんがわざとらしくため息をついた。
「相変わらず姉さんはモテモテですね。もう大丈夫ならほら、行きますよ」
「ははは、素直じゃないね」
「そう言いながら肩に手を回す陛下は抜け目がありませんな」
器用にパスカルとわたしの隙間に腕を通すリチャードに、またみんなが笑いだす。
ああ、よかった。やっぱりわたしは、ここにいて良かった。
良かったよ、ラムダ。
「……っシオリ!」
グイと腕をひかれて、パスカルとソフィの拘束から逃れる。
その先にはアスベルがいて、わたしの手を握ったまま強く見つめてきた。
「ええと、その……」
「う、うん?」
「……ここを選んでくれて、ありがとう」
ぐっと見つめながら言われて、一瞬目の周りが熱くなった。
良かった。良かった。良かった。ありがとう。わたしこそ。
『……お前をここに呼んで、悪くはなかったようだな。』
繋いだ手から、ラムダの声も聞こえる。
それがたまらなく嬉しくて、ラムダがいてくれたことに感謝したくなって、わたしをこんなに思ってくれるみんなが大好きで。
「こっちこそ、ありがとう」
少し泣きそうになりながら、笑った。