44.小さな、女王

気分を切り替えて、当初の目的である帰還と散策を続けること数分。
先頭を歩いていたソフィが立ち止まったのをきっかけに、彼女の視線を辿れば、そこには静かに立ち尽くす少女の……リトルクイーンの姿を見つけた。
ソフィは少し深呼吸をして、それから彼女に近付く。
彼女もゆっくりと、ソフィに振り返った。

「あなたはわたしを知っているの? わたしの心がわかるの? どうして……?」

よほど聞きたいことがたくさんあったのだろう。矢継ぎ早に質問をぶつける彼女は焦っているようにも見えて、わたし達は固唾をのんで見守る。
さっきまでソフィ達にこんな思いをさせていたのだ。なら、わたしだってこうして待っていられる。
リトルクイーンはソフィを見て、それから再び自身の数を分裂させた。

「星は繁栄を」
「風が瞬き」
「大地は慈しみ」
「花は咲き乱れ」
「生命が躍動する」
「その輪を乱す者は」
「「「ヒト!!」」」

幾人にも増えたリトルクイーンが、わたし達を囲んで一斉に指を差してきた。
それはたくさんの人から非難をあびるようで気分良くない。
けれど、そのうちのひとりは優しく、優しくソフィに手をさしのべた。

「フォドラの子。共にヒトを滅ぼすのです」

優しく、穏やかな声。
けれど間違いなく破滅を口にした。

「それがお前達の目的なのか?」

思わず前に出たアスベルに、リトルクイーンは再び表情をなくすとその手に光を集めた。
このモーションは知ってる。研究所で見せた、あの波動砲みたいなものを撃つ気だ。

「散りなさい。ヒトよ」