「ユベルティ!」
クルクルと回転するようにして、ソフィは両脚で魔物を蹴り上げる。
わたしは彼女を囲もうとする魔物に当たりをつけ、輝術を発動させた。
「陵、其は猛き大地の呼号、崩壊夢見し紅き旋律の光……クロスグランド!」
わたしが輝術を詠唱すればソフィが前に出て、ソフィが再生術を使う時にはわたしが前に出る。
まもなくして魔物を全部倒すと、なんだかそれが凄い名コンビだと思うと同時に懐かしくて、ぷすりと笑ってしまった。
「なんだか懐かしいねぇ」
「懐かしい?」
「こうやってまた戦うの。最近は各国の移動がしやすくなったし……かめにんの亀車に乗ってばっかりだったから。だからちょっと嬉しいなぁって」
なーんて言えば、ソフィは一度キョトンと目を瞬かせる。
それから、ほわっとはにかむように笑った。
「……うん。わたしも、またシオリと一緒にいられて嬉しい」
可愛い。
ソフィは可愛いなんて知ってたけど。改めて可愛い。
表情の増えたソフィはどんどん可愛くなっていくから、わたしは胸の底から湧き上がってくる衝動に耐えきれずソフィを抱き締めた。
「っあーもう! ソフィってば更に可愛くなっちゃって! そんなに可愛いと誘拐されちゃうよわたしに!」
「誘拐……大丈夫。知らない人には一人でついて行っちゃいけないって、アスベルも教官も言ってた。それに、シオリにだったら平気だよ」
「ソフィ……!」
きゅん。
やだこの子、上手になって。
アスベルもマリクさんも素で殺し文句を言う人達だからな……ソフィも将来、こんなふうに誰かを攻略してしまうのね……
どこか見当違いな事をしみじみと考えていれば、ぎゅっと手を握られる。
見れば、ソフィと目があう。
それから二人でニコッと笑った。
「今はわたしがシオリを独り占め」
「今はわたしがソフィを独り占め〜」
根底にあるのは不安のはずなのに、今はただの楽しい旅でしかなかった。