「ダメだ、キリがない!」
倒しても倒しても増えるリトルクイーンの姿に、わたし達は次第に追い詰められていく。
それでもリトルクイーンは、ソフィにだけは甘い姿勢を貫くらしい。戦いの最中にも関わらずそっと手を差し出しては、彼女に笑いかける。
そこに何か不思議な魅力があったのかもしれないし、ソフィ自身の意志だったのかもしれない。
リトルクイーンの手を掴もうと、ソフィがふらりと彼女に近付いたのを見て、わたしは慌てて腕を掴んでは彼女を行かせまいと引き留める。
「待って、ソフィ!」
「そばへ行ってはダメだ、ソフィ!」
「おいでなさい。わたしが」
「「わたしたちが」」
「あなたの孤独を癒やしてあげます」
「永遠を、共にゆきましょう。悲しみのない、永遠を」
「悲しみのない……永遠」
いくつものリトルクイーンの声が重なって、ソフィに手をさしのべる。
その手に向かって、ふらりと……ぼんやり、ソフィは自身の手を伸ばした。
彼女の方が、力はずっと強い。わたしなんかが彼女を抑えきれることは出来ず、ソフィの手はどんどんリトルクイーンに近付いていく。
だが、それを遮るようにアスベルが二人の間に割り込んだ。
「だめだ、ソフィ!」
「ヒトよ……」
アスベルの姿を確認して、リトルクイーンは表情を無くした。
光が彼女の手に集まっていく。
これは前にも何度も見た。
思わず青くなると、ソフィがハッと意識を取り戻したように声を張り上げた。
「……待って!」
「まずいぞ!」
「滅びなさい……!」
目の前が強く光って、リトルクイーンの姿さえ見えなくなる。
だが、いつまでたっても予想した衝撃も痛みも無いことにそっと目を開くと、わたし達を囲む“壁”のような物が見えた。
それはアスベルのかざした両手から広がっており、これがバリアになってくれたらしい。
思わず息をのむ。
だって、だってこのバリアから感じるものは……
「これは……!」
「ラムダの……?」
確認するように呟けば、アスベルはそうだと頷く。
やっぱり。
ラムダが力を使って、わたし達を守ってくれたんだ。
だがその事実に、ヒューバートくんは訝しげに顔をしかめる。
「ラムダがぼくたちを守ったと言うんですか……?」
信じられない、と彼は言うが事実だ。
明らかにラムダの力を感じるし……まあ、半年前のことを思えば、仕方ないのかもしれないけど。
ふと周りを見ると、リトルクイーンの姿はどこにも無かった。どうやら今の隙に帰ってしまったらしい。
彼女がいた場所にしゃがみこんで、ソフィはそっと地を撫でる。
「待っている……」
「行こう、ソフィ」
そう近付いたアスベルを見上げて、でも不安そうな表情は晴れないまま……ソフィはこくりと頷いた。
「……う、うん」