54.星の、涙

三人を置いて出たはいいけれど、なんとなく休めそうになくて、シャトルの格納庫までふらふらと歩いてみる。
そこにはサイくんがいるのが見えて、わたしは一人じゃなくてよかった、とどこか安心しながら、ゆったりとした足取りで彼の隣に立った。

「シャトルの最終調整とかしてたの?」

こくり。
喋れない彼はうなずく。

「そっか。ありがとう」

ぽん、と頭を撫でる。
サイくんは特に反応を示してはくれないけど、それでもなんとなく受け入れて貰ってる感じはした。
数度撫でて、そういえばここは静かだなぁなんて事を考える。
誰もいない。この町の人はみんないなくなってしまって、仲間たちももうそれぞれ休むために戻って、ここにいるのはわたしとサイくんだけ。
……わたしが、何を話しても、喋れない彼だけ。
わたしはぽつり、呟いた。

「……ねぇ、サイくん。どうしようか。あのね、アスベルがラムダと協力して、フォドラの核を止めるんだって。危険だけど、ラムダが守ってくれるよね。だってラムダはアスベルが大好きだもん。大丈夫。大丈夫だって、信じてるんだけど……」

静かに。静かに。
心を落ち着けて。ゆっくりと話し出したはずの言葉は、何故か、だんだんと震えていく。
震えたくない。静かでいたい。
わたし、いつだって、大丈夫だよって、笑っていたい。
でも、今、ここには誰もいないから。
だからわたしは、そのまましゃがみ込んでしまった。
しゃがみこんで、そのまま。言いたくなかった言葉を、吐き出してしまった。

「……信じてるのに、さっきから震えが止まんないよ……っ!」

不安になんてなりたくない。だってわたし、ちゃんと、ラムダのこと信じてるもの。なんだかんだ彼がアスベルことを気に入っていて、彼から提案するくらい、アスベルを守ろうとしてくれていること、ちゃんとわかってる。
だから不安になる必要なんてない。みんなに大丈夫だよって笑いかけて、彼らのことを信じて、その背中を送りだせる人じゃないといけないのに。
怖い。
怖いんだ。
怖いんだよ。
シェリアにあんなに大丈夫だって言ったのに本当は怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くてたまらないのたまんないんだよ。
信じてるのに。
なのに、なんで、こんなに不安なんだ!

「大丈夫なのに。大丈夫なはずなのに。どうしよう、後遺症とかあったら。どうしようラムダでも守りきれなかったら。どうしようどうしようどうしよう! アスベルが、アスベルがいなくなっちゃったら!」

ぼたぼたと涙が落ちる。
いつのまにか落ちてしまったそれを、どうやっても止められない。
どうしても不安でしかたなくて、どうしたらいいかもわからなくなって、どうしてさっきまで平気なふりが出来たのかわからないくらいで。
我慢したぶん、もうどうにも出来ないくらい苦しかった。

「どうしよう……」

かすれた声に、サイくんが無言で頭を撫でてくれる。
機械の手は優しくて、わたしはやっぱり声をあげないように泣くしか出来なかった。