62.核の、光景

更に下へと降りると、そこには先ほどまでとは違った光景があった。
あの無機質に荒れ果てた場所とは違って、緑の苔が目に入る。少し湿った空気は今までフォドラではあまり感じられなかったもので、優しく髪を揺らす風に思わずは、と息を吐いた。

「風が吹いてくる」
「……気持ちいい」
「だいぶ雰囲気が変わったね」
「人が作ったとは思えないな」
「うん、もう半分以上は自然にできたって感じだね」

千年というわたしには想像もできないような途方もない時の中で新たに実った緑に、なんともいえない感覚が湧き上がる。
美しい。そして、力強い。あんなに荒れ果てても、再びこの光景を作り上げることのできる星の強さに、何かが震える。
ふと、視線を感じて目を向ければ、少し離れた物陰からこちらを見る魔物の姿が見えた。襲ってくる様子はないけれど、武器に手をかけるだけをして警戒していれば、また空に光るような歪みが生まれる……リトルクイーンだ。
彼女はわたし達を視認するなり、スッと戦闘の構えをとった。

「フォドラを侵すヒトよ。フォドラのもとへは行かせません」