7.目覚めの、気配

「あ、連絡!」

ルールを覚えたソフィによる無敗伝説が刻まれ始めた頃、パスカルが急に声を上げた。

「ソフィも一緒って事は、ラントから来たんでしょ? 二人ともこっちにいるよって教官に伝えないと」
「え、マリクさんに?」
「あ、そういや、その時に呼び出されたたな〜。まあいいか」
「良くないだろ……」

ポンポンとあの通信機を使って、マリクさんに連絡を飛ばす。
二人はよく色んな事をやり取りしているようだが、パスカルはヒューバートくんじゃなしにマリクさんと落ち着くのだろうか……なんて、散々からかわれたから返してやりたいけど、マブダチってところで止まりそうなのは目に見えてるし、難しいかな……
とりあえず、呼び出されたのに思い切り無視させてしまったことは後で謝ろう。

「てゆうかマリクさん、今仕事? パスカルも一緒の?」
「うん。大輝石の周辺で魔物が活発化しててね……そんで、フォドラの様子が……ああっ!」
「今度はなに?」
「そうだよ! あたし、大輝石の様子を確かめたいんだった!」

大輝石へ行かなくっちゃ! と立ち上がったパスカルの腕を掴んで止める。
さっきからいろいろと忘れすぎというか、突然思い出して突然行動しすぎというか。さすがにちょっと置いてきぼりだ。

「ちょっちょっと待ってパスカル! ちゃんと説明ちょうだいって!」
「とにかく、フォドラに異変があってそれが大輝石にも影響してるんじゃないかなって。それを確認したくて!」

えらい簡潔な説明でやがるが、まあギリギリ許せるだろう。
つまりはフェンデルの大輝石に行きたいというだけの話だ。
無理やり納得。やっぱりパスカルはパスカルだ。そんなところも魅力的である。

「わたしも一緒に行く」

トランプを一人で片付けていたソフィがそう言ったので、わたしもついて行く事にした。
二人の後に続こうとして、ふと、足を止める。
なんだろう。
今、なんだかとても、嬉しくなった。
二人と一緒だからとかじゃなくて、もっとこう、休日ギリギリまで惰眠を貪っていい夢を見て目覚めたような、そんなよくわからない幸福感。
……そう。たとえば、朝、優しい光に包まれて、目を覚ますような。

「どうしたの? シオリ」
「……ううん、なんでもない」

そう笑って、わたしは一歩踏み出した。


おはよう、ラムダ。