「はああっ双星! ……任せたヒューバートくん!」
「了解です!」
突き飛ばしたリトルクイーンに向かって、ヒューバートくんは双銃を乱射させる。
それでも倒れない彼女に彼は眼鏡をクイと上げると一気に距離を詰めた。
「これに耐えるのなら……奥の手を見せてやる!」
そう銃を捨てた彼の手に、原素が圧縮されていく。
「ランヴェルス・レゾン!」
圧縮されたそれを勢い良く殴りつけるように繰り出して、リトルクイーンは大きく体をよろめかせた。
よろめかせたが……それでも、彼女は倒れることはせずにチカチカと体を瞬かせる。
「はあ……はあ……」
「ものすごい執念ですね」
「よほど僕達が憎いらしい」
「もうやめて! アスベル達は違う!」
ふらふらと宙をさまよいながら、それでも戦闘の構えを解かない彼女に、ソフィが耐えきれないとばかりに叫んだ。
それでもリトルクイーンは、敵意に満ちた目を変える事はない。
「憎い……憎い……ヒトを滅ぼせ……滅ぼせ……」
泣きそうにも見える表情で、譫言のように呟く。
そうして宙に溶けるまで、彼女は決して地に伏そうとはしなかった。
完全に見えなくなってから、シェリアが力が抜けたとばかりにその場にしゃがみ込む。
「……私。何だか彼女達と戦っていいのか、わからなくなってきたわ。私達がしようとしていることって正しいの?」
「確かに、気持ちのいい戦いではないですね……」
俯くみんなの表情は暗い。
それもそうだろう、わたし達は彼女からすればただの悪役なのだから。
彼女は必死に、フォドラを守ろうとしているだけなのだから。
でも、でも。
「……わたし、信じてるよ」
ポツリ、呟く。
わたしの言葉にみんなの視線が集まるのを感じて、でもわたしは言葉を紡ぐことを止めなかった。
だってだって、わたし達だってエフィネアのみんなを守りたくて、そして伝えたいんだもの。
「みんなは、ラムダの事も助けてくれた。昔に守ってもらえなかった彼を守って、わたしごと助けてくれた。今もこうして一緒だよ。一緒に生きてるんだよ」
かつて共存出来なかった存在が一緒にいるんだよ。
そう続けようとして、隣でアスベルが頷くのが見えた。
彼もまた暗かった表情を上げて、あの強い決意に満ちた目をみんなに向ける。
「俺達はフォドラを滅ぼしたいわけじゃないんだ。フォドラに伝えたい。人は変われるんだと。千年前とは違うってこと」
だから大丈夫だって伝えたいんだ、そう言外に込めるアスベルと目を合わせて、わたし達は頷いた。
「アスベル……シオリ……」
それに感化されて頷きだしたみんなに、ソフィは胸がいっぱいだと言わんばかりに言葉を詰まらせた。
そのままコクンと頷いて、そしてキッと顔を上げる。
「行こう。核のところまで」