光が消えたかと思うと、また違う景色が広がっていた。
それでも見覚えはある。先ほどみんなで足を踏み入れたゾーオンケイジだ。
アスベルとシェリアもきちんと近くにいてホッと息を吐く。
それから、ばたばたと足音がして振り返れば、ソフィたちが走ってくるところだった……どうやら、ここは最初の地点から少し進んだところのようだ。
「あっみんな帰ってきた!」
「あ、パスカ……うおおっ?」
「シオリ!」
後ろから抱き締められて、思わず倒れそうになるのを必死に堪える。
シェリアだ。先ほどの幼い彼女ではないから重いが、それでも軽い重みにわたしは後ろ手に背中を叩いてやった。
「どうしたのシェリア」
「どうしたのじゃないわ、まったく、勝手に……」
「ご、ごめんね。放っておけなくて……」
「いいの。それは嬉しかったから。いいんだけど、でも……ああもう、アスベルなんかにシオリをあげなきゃ良かったわ」
「え、ええ?」
シェリアとやり取りしてる間に、アスベルがみんなに説明をしてくれたらしい。
アスベルはシェリアの言葉に苦笑しながらもわたしの頭を撫でてくれた。
「なるほど、わかりました。あの穴はすぐに消えてしまったので先に進んだのですが……ここは原素が濃いせいか、いろいろと予想外のことが多く起こりそうですね。そして姉さんは10歳前後の子供をたぶらかしてきたと」
「うわ凄く人聞きが悪い」
「今更だけどな」
うん、まあ、今更だけど。
「罠、というべきかは微妙だが、今後も何があるかわからない。気を引き締めて行くぞ」
マリクさんの言葉に再び歩き出す。
それでもシェリアが引っ付いたまま離れないから、少し引きずったあとにもう一度立ち止まった。
「シェリア、行こう」
「うん……あのね、シオリ。私、今も叶えたい夢があるの。魔法使いさんは叶えてくれるのかしら?」
「も、ものによります」
魔法使いじゃないからなあ、なんて言えばシェリアはそっとわたしから腕を離した。
くるりとわたしの前に移動して、それから真っ直ぐに見つめてくる。
「アスベルとソフィと、あなたの幸せを見守っていきたいの」
ふわりと、彼女が微笑む。
それはとても綺麗で優しくて、それからちょっと考えてなかったような言葉で。
わたしは咄嗟に何かを言うことが出来ず、シェリアを見つめ返した。
「抱き上げて私を連れて行ってくれるんでしょう? あなたの幸せな未来に、私も一緒に連れていってくれるわよね?」
「……もちろん。任せてよ」
ぎゅっとシェリアの手を握る。
それからにっこりと、親友の可愛らしくて優しい願いに笑いかけた。