「男なら、背中で語れ! マリクビーム!」
普段は武器を納めている背中から、一筋の光が伸びる。
光線となって大気を焼いて、そのまま黒いかめにんをトータスごと貫いた。
そんなビームを放った本人は、なんというかその、とても満足げに腕を組んで背中を見せている。
そこってビーム出るんだとか、なんでそんな満足げなんだとかいろいろ言いたいことはあるんだけど、とりあえず、ええと?
「……マリクさん、なんですか今の」
「……ふっ」
「いや、ちょっとかっこよく笑うんじゃなくて」
「みんなひどいっす!」
黒いかめにんの悲痛な声が響く。
彼は地面に倒れると、悔しそうに床を叩いた。
「いつもオレを他のかめにんと違うってバカにするっす!」
「かわいそうだね」
「そう?」
「パスカル……」
「オレをクラスの中の腐ったマーボーカレーと言ったっす! 俺は腐ったマーボーカレーじゃないっす!」
「腐ったかめにん?」
「違うっす!」
パスカルがいつにも増して空気を読まずに壊していく。シリアスにならない。いや、これシリアスじゃないけど。
もしかしてパスカルも原素ハイになってるんだろうか。
その後も黒いかめにんの懺悔のような愚痴のような諦めのような話は続き、やがて彼はアンニュイに微笑を浮かべた。
「でも、わかってるっす。オレ……正直醜いかめにんっす。けど、いつか羽ばたいてみせるっす!」
彼が宣言すると同時に、その真っ黒な体が光り出した。
かめにんって光るんだ! すごい!
「こ、これは……」
「おお! 来たっす、来たっすよ〜!」
「何が?」
「かめにんが白鳥になるときだよ!」
「いや〜んっす!」
光が一際強く輝く。
それが消えた時、彼はどんな姿になっているんだろう。
そして輝きが消えて、喜ぶ黒いかめにんの姿が……
「オレ、生まれ変わったっす! 白鳥になったっす!」
「一緒だよ」
変わってなかった。
真っ黒なかめにんのままだった。
サイズも何も変わってなかった。
「あ、それ」
パスカルが指差した先に、かめにんの甲羅が転がっている。
「脱皮だったみたい」
「生まれ変わったね」
「うぉーん!」
期待したようなこともなく、黒いかめにんはついに地面に付して泣き出した。
その姿に、すでに原素ハイになっていた面々はうっと涙ぐむ。
「つらかったな」
「良かったじゃん。やっぱただの変なかめにんだったんだよ」
うんうん、とりあえず居場所も見つけたしぶんなぐったから後で剣取りに行こうっと。
……うん……帰りたいなあ……