26.いつか、家族と

今度落ちた場所はユ・リベルテだった。
メンバーはわたしとアスベルとソフィ。二回目の面子というのもあって余裕だ。
いつ戻れるかはわからないが、まあ、大丈夫だろうと適当にカフェに入るくらいには余裕綽々である。

「そういえば、昔来たときに、ソフィがお嬢様に間違われたことがあったな。懐かしい」
「え、なにそれ?」
「シオリが宿で待ってた時の話だよ」

言われて、ああそういえば、と思い出す。
あれはまだ、ラムダだのなんだのと何もわかってなかった頃だ。リチャードが何かおかしいなと思いながら、とにかくヒューバートくんをラントから離れさせないでほしいと、ストラタの大統領に直談判していた頃。
ずいぶん懐かしくなったあのとき、わたしは暑さですっかり参ってしまって、一人別行動をしていたのだった。

その間にソフィがとある貴族の令嬢に間違われる、というイベントがあったらしい。
もちろん間違いなわけだが、当時のソフィはまだ“記憶喪失の少女”であったから、本当に家族なのではないかと、嬉しさと寂しさがごった混ぜになっていたとアスベルが話す。

「そのお嬢様は死んじゃってたけど、砂漠で遺品を見つけて……返したときにちゃんとお家に帰れて良かったなって思ったの。それにね、その時に言ったことが本当になったなあって、今なら思うよ」
「どんなことを言ったの?」
「アスベルがわたしの家族だよって」

記憶がなくて、家族もよくわからなかったけれど。
でもずっと一緒にいたいから、とソフィは言った。

「あの頃は自分のことも何もわからなかったけど、みんなが好きだっていうのはあの頃から変わってない。わたしの家族は、アスベルとシオリたち。友達もたくさんいるよ。リチャード、シェリア、パスカル、教官、ララ……それに、ラムダとリトルクイーン」
「ふふ、なんだかすごく、嬉しいね」
「……そうだな」

ほわりと笑うソフィに、自然とわたしたちの表情も緩む。
あの頃からわたしたちは随分と進んできたけれど、もしかしたら何も変わってなんかいないのかもしれない。
それでも、それが酷く嬉しかった。

「ラムダたちとは、いつか……家族みたいになれたらいいな」

永遠に近い時の中で、いつの日か、家族だって言えるようになれたら。
そんなソフィの呟きに、ラムダが少しだけ照れくさそうな声をこぼしたのを、わたしとアスベルははっきりと聞いていた。