「悔い改めよ! 我と汝を阻む奔流、汝を裁くは絶えず流れる流動の水! アクエリアス・スフィア!
すっかり使い慣れた秘奥義を使って、エメロードさんのヒューマノイドを倒す。
相変わらず一定ダメージを受けると自動回復して立ち上がる姿に、わたしも端から見たらあんな感じなのかなぁなんてぼんやり思った。
「エメロードさん……あなたの強い想いとはなんですか?」
「彼女はヒューマノイドとなる以前は……」
ぐっと息をのむ。
彼女はいったいどんな想いを持っていたのだろう。
ラムダやリトルクイーンを研究して、フォドラのためと死んでもヒューマノイドとして残って、そうしてラムダを利用しようとして、最後にはわたしたちに倒されて……それでもまだ消えない想いとはなんだろうと、真剣な眼差しのエメロードさんの言葉を待つ。
きっと、そこには長い物語が……
「モテました」
一言だった。
長い物語も何もなかった。
「は?」
「換装作業を行う直前、彼女は三度目のモテ期だったのです。だがおりしも戦時下。そんなことが許されるはずもありません。彼女は願った! このモテ期に、モテておきたいと!」
力強く、力強くそう叫ぶ。
なんというか……うん、すごく真剣だ。
すごく……強い思いだ。
「……ラムダやフォドラ復活が強い想いじゃ……なかったんですか?」
「そのために、ラムダやリトルクイーンの研究をしてたんじゃ……」
「それはエメロード本人が継続しました! それで、モテたいという想いを……私が継いだのでしょう」
「そんな過去が……」
「教官……これってマジメに聞く話ですか……?」
「ああ! 悲しい……モテたい……そんなエメロード本人の私は……」
ふっと、エメロードさんが切なげに微笑んだ。
すべての悲しみを背負うような、諦めたような、そんな笑み。
それはすごく、ちゃんと笑わせてあげたいと思うような笑みだったけど……ごめんなさい耐えられない。
「――忘れ物――なのかもしれませんね」
「ぶふっ! ……あ、すみません……」