30.黄色い、鳥

「ぴよぴよ、ぴよぴよぴよ〜」
「なんだ?」
「ぴよぴよ、よね……」

次の階で待ち受けていたのは、たくさんのぴよぴよ……うるうるとした瞳の仮面をつけた、でかいヒヨコの魔物だった。
わりと可愛い見た目をしているのもあって、わたしだけでなくシェリアも頬をゆるめていた……のだが。
気がつくと見渡す限りのぴよぴよの群れに囲まれていて、思わず顔をひきつらせた。

「これは!?」
「ぴ、ぴよぴよの大群……やっぱり可愛いね!」
「そんなこと言ってる場合!? こんなにいると気持ち悪いわよ!」

広間がいっぱいになるんじゃないかってくらいに増えたぴよぴよ達は、そのままわたし達に襲いかかってくる。
なるほど、この子たちも十芒星戦士の一人なのか。ん? 一人? たくさん? ていうか、なんでこいつらにした?

「人選あきらかに間違ってる!」

思わず叫んでしまっている間に、なんとかぴよぴよをさばききる。
所詮は低級の魔物というか、あまり苦労はしなかった。
不思議なのは、倒したぴよぴよが一杯のヤキトリ丼になったことくらいだろう。……いや、特に調理もしていないのに、何故……?

「や、ヤキトリ丼になった……」
「声が聞こえるわ。ぴよぴよの想いが空気中の原素を媒介にして聞こえてくるんだわ……!」
「なんだ、それ」

突然耳を澄ましたシェリアにアスベルが突っ込む。
珍しい。アスベルがツッコミをするなんて珍しい。
まあシェリアがボケたわけでなく、確かにぴよぴよ達の声が聞こえてきているので、たぶんそういうことなのだろう。

“ぼくたちはコックに追われていたぴよぴよ。ぼくたちはみんな兄弟なの。コックに追われたある日のこと、ぼくたちは兄弟みんなで、コックを帰らぬ人にしてしまったぴよ。”
「たしかにこれだけいれば、人間一人なんて……」
“みんなで逃げ回ったあげく、空からの光に吸い込まれてここまで来たの。ぼくたちはただ、兄弟揃ってニワトリになりたいだけなの。”
「どうなってるんだ、人選……」
「アスベル、シオリ……」
「どうした?」
「なんてかわいそうなの、この子たち……」

うっと涙を零して、シェリアが俯く。
よく見ると、アスベルとヒューバートくんを除くみんなも目に涙を浮かべていた。
可愛い。違う、超可愛い。いや、そうでなく、アスベルが思わず引きつった笑みを浮かべる。

「そ、そうかな?」
「でも、あなたたちが落としたヤキトリ丼はもらっていくわ……うう……なんてかわいそうな子たち……」

シェリアの言葉に、ぴよぴよ達が一斉に逃げ出した。
悲鳴をあげている子もいた気がする。
そうだね。ヤキトリ丼になんか、なりたくないよね。
でもシェリアはヤキトリ丼大好きだから、許してね。

「ああ……シェリアまで原素ハイに……」
「さっき下に降りたのに、あんまり意味ないんだね……」