38.最後まで、急展開

大輝石竜は素早い動きでわたしたちを翻弄する。基本はソフィやリトルクイーンと同じ格闘タイプのようだ。
だが、自らを大輝石を束ねる主と言っただけあって、腕と脚だけでなく分身までしてわたしたちを追い込んで行く。
けれど、わたしたちだって負けない。負けてなんていられないのだ。

「我が心、泰然自若なり! 至大至高の拳を受けよ! 奥義即ち! 天衣無縫なり!」
「遠慮はしない! 決めてやる! 斬空刃無塵衝!」

大輝石竜とアスベルの打ち合いの果てに、ついに膝を着いたのは大輝石だった。
彼はまたふわりと浮き上がると、またわたしたちの視線より高いところで静止し、こちらを見下ろす。

「短慮軽率であった……戦々恐々……我を倒してしまったな……」
「だから何だと言うんです!」
「我は豚や牛の家畜を人知れず始末しては原素を回収していた……フォドラの活発化の動きもあり、原素が地上に集まりすぎて生物の異常進化が進んだ……それを原素をここに回収することで、ある程度に抑えていたというのに……」

……ん?
大輝石の話にわたしたちは揃って顔を見合わせた。
大輝石竜が原素を異常に集めて、地上の原素が足りなくなる……と問題があるし、フレデリックさんを助けるためにとここまで来たわけなんだけど。
さっきの「家畜は皆殺しだ」発言が、まるで悪役みたいに人間皆殺しって聞こえたんだけど……あれ?

実際は原素の異常発生を抑え、リトルクイーンのときのように魔物の異常進化を繰り返さないようにしていて、家畜もそのまま家畜をさしていた、と。……あれ?

「それじゃ……俺たちのやったことって……本当に勘違いじゃないか!」
「ううん。でもこれもシステムが暴走して勝手にやったことなんだよ。この子を元の正常なシステムに戻してあげないと」
「でも、どうするのパスカル?」
「んー……そうだ! お姉ちゃんの発明が世界を救うんだよ!」

アスベルの叫びに冷静に答えて、パスカルはノパーソをカタカタと操作しだした。
そして最後のキーを軽快に押した瞬間、バリバリと音を立てて大輝石竜が苦しみだす。

「うがあぁぁああああ! ……はっ……我、これまで一体、何をしていた……?」
「やったな!」
「あっさり!」

すごく急展開だ! と思わず叫ぶが、まあいいかという気持ちになる。
なんだろう、あまり細かいことを考えてられない。
一体どうしたんだろうとぼんやり思っていると、ふと、ノパーソから何かが落ちたのが見えた。

「あれ? なんだこれ?」

ひらりとノパーソから落ちた紙を、わたしたちは揃って覗き込んだ。