落ちたのは写真……ブロマイドのようだ。
一目で美人とわかる、青い髪の女性。たれ目がなんともいえない色気を出していて、白くすらりとした体と素晴らしい胸が、黒いビキニで強調されている。
そう、黒いビキニ。豊満でそれでいて女性らしく細いウェスト。布より多い肌色が眩しいそれは、水着姿の女性のブロマイドだった。
「わ〜お。えっちなブロマイドだ」
なんだか嬉しそうなパスカルの声。
いや、確かに素晴らしい。性的とかそんなことはどうでもいい。ただそこにあったら思わず見てしまう美しい写真だ。
だからマリクさんとヒューバートくんがガン見してるのも、わたしがガン見してるのも仕方ないことなんだ!
「こ、これは……ソフィ見てはダメだ!」
「何? どうしたのアスベル」
「子供が見るものじゃない。これは……セクシーすぎる!」
アスベルがソフィの目を隠し、余った片手で自分の視界も隠して上を向く。でもたぶん指の隙間から見えてる。
……こ、恋人としては、ここでやきもち妬くのが通常の対応なのかもしれないけど、残念ながらわたしもこういうの見るの好きだし美人だし、芸術品のようなブロマイドを見るので一生懸命だった。
申し訳ないけど一生懸命だった。
いやでも、仕方ないよ。
「敢えて点数にするなら……二兆点!」
「……た、たいしたことありませんね……!」
ヒューバートくんが目をそらす。
ちなみにここまでずっとガン見だったので、その言葉に一切の説得力がなかった。
「この資料の持ち主はフレデリックみたいだよ」
「やるな、老人」
「もうやだ! おじいちゃんったら!」
「こういう画を世界中から集めたみたいだよ! 六百枚くらいある」
「やるな、老執事」
「これするために……フーリエさんから借りたのね……もう、ノパーソは二度と禁止なんだから!」
「シェリア、仕方ないさ。フレデリックも男なんだ」
うんうん、と何故かわたしが頷いている横で、マリクさんが手を伸ばす。
それの意味はよくわからなかったが、ブロマイドを拾っていたシェリアに向かって伸ばされていたので、なんとなくシェリアはブロマイドをマリクさんに渡した。
受け取ったマリクさんはブロマイドをポケットに突っ込んだ。
「わかってやれ」
「だったら、そのブロマイド返してください……」
「くっ……なんだか、頭が痛い」
突然頭を抱え込んだマリクさんに、シェリアから呆れたような視線が突き刺さる。
でも確かになんだか頭がぐっと痛んだ気がしたので、わたしもさっと頭を抱えた。
「俺もです」
「わたしも……」
「どうやら、大輝石竜を正常に戻したせいで、ここの原素が一気に薄まったのかもしれません。もう、原素ハイにもならずにすみそうですね」
どこかたどたどしい口調でヒューバートくんが説明する。
何故か視線はマリクさんに向いているが、わたしたちは特に何も言わず頷いた。
「まあ、無事に終わってよかったね」
「さ、帰ろうか」
こうして、ゾーオンケイジの騒ぎは終わったのであった。