「シオリ!」
「ソフィ」
ラントの入り口が見えてきた辺りで、そう名前を呼ぶ声がした。
見れば向こうからソフィが走ってくるところで、彼女は辿り着くなりわたしの手を握って、その場でくるりと回ってみせた。
ふわりと揺れる長い髪と、白くて柔らかいスカート。
わたしと同じか僅かに高くなった目線で、ソフィはふわりと微笑んだ。
「パスカルと教官も一緒だね」
「ソフィ! あたしもあたしも!」
ばっと両手を広げたパスカルを見て、ソフィはたっと走り出す。とはいっても、本気で逃げるつもりもないのか、はしゃぎ声をあげながら二人はわたしたちの周りをぐるぐると駆けまわるだけだ
素直に触らせないのがソフィなりの愛情らしい。……そう気付いて以来、こうして追いかけ回すだけでパスカルはとろけそうなくらい嬉しそうにしているのだから可愛らしい。
いや本当に可愛い。
ものすごく可愛いよ。
「可愛い子に囲まれて、幸せ……」
「顔がだらしないぞ、シオリ」
「久しぶりで、つい。マリクさんだってちょっと嬉しそうですよ?」
「ま、悪くないからな」
にへらと笑うわたしと、柔らかに笑っているマリクさん。
こういう時間が、なんだかんだ一番好きなのだ。誰もがみんな笑っていて、たわいもない事で一喜一憂して。素敵な時間だとふにゃりと笑えば、一通りパスカルと遊んだらしいソフィがぎゅっと手を握ってきた。
それにつられてか、反対側の手をパスカルが握り、更にマリクさんとも手を繋ぐ。
右からソフィ、わたし、パスカル、マリクさんの四人で並んで、そのままラントへと入って行った。
「あのね、シオリ。シェリアがね、今日はずっとうきうきしてたんだよ」
「本当?」
「うん! 他のみんなも一緒だから、きっともっと喜ぶね」
「うっはぁ楽しみ!」
「そうだ、パスカルにはわたしの花壇、見せてあげる。たくさん咲いたんだよ」
「ホント? ぃやった〜あ! 見る見る!」
ラントの人から微笑ましい眼差しを受けながら歩いていく。
正直恥ずかしいが、きゃっきゃっとはしゃぐ二人が可愛いので問題ない。
「なんだ、今日は二人ともやけに上機嫌だな」
「可愛いのでアリ!」
「さすがだな」