今度はフォドラではなく羅針帯へ向かう都合上、シャトルを調整する必要がある、というパスカルの準備が終わるまでの間に、わたし達は急いでヒューバートくんに連絡をとった。
彼だけ無関係でいさせるには申し訳ないし、何よりフレデリックさんはヒューバートくんにとっても大切なはずである。
予想通りヒューバートくんは飛んでくるようにラント邸へとやってきて、そこでの詳しい話を聞いてから、はあっと頭を抱えながら大きく息を吐いた。
「フレデリックが星になった、なんて、紛らわしい連絡を寄越して……!」
そうだった。
動揺してつい、ソフィが言ったような内容で連絡してしまったのだ。
そのせいもあって急いで来たのだろう。
ちょっと申し訳ない。
「ごめん、ヒューバートくん。でもだいたい合ってるでしょ?」
「そのようですが……母さんも見ていなければ、揃って寝ぼけているのかと違う意味で心配になるところでしたよ」
「あはは……寝ぼけてたなら良かったんだけどねえ」
「……それで、羅針帯に行く事は本当に可能なんですね?」
「ああ。さっきパスカルが調整を終えてくれたよ。すぐにでも行けるはずだ」
もう準備は出来ている、と伝えれば、ヒューバートくんもすぐに向かいましょうと頷く。
他のみんなももう待機している状態だ。アスベルと三人で外に出ようとして、ふとヒューバートくんに呼び止められた。
「ああ、そうだ。姉さん」
「ん?」
「これを」
すっと手のひらに乗せられたのは宝石である。
磨き上げられたそれは可愛らしい装飾のついたホルダーに入っていて、すぐにでもアクセサリーとして服に付けられそうだ。
でもなんで? と首を傾げると、ヒューバートくんは眼鏡を押し上げながら呆れたとため息を吐いた。
「あなた、マーレンと知り合いだったんですね。流石というか抜け目ないというか……」
「マーレン……ああ、宝石錬磨職人の綺麗な方。知り合いっていうか、ちょっと助けてもらったっていうか……」
一度だけ行ったル・リベルテで体調を崩した時、確かにマーレンちゃんに出会ったと思い出す。
なんというか、懐かしい。あの時はいろいろわからない事が多いし暑いしでいろいろとぐらぐらして倒れてしまった時に、彼女に助けてもらったのだ。
「ていうかこれ、マーレンちゃんから?」
「……久しぶりに会った時、つい口を滑らせまして。結婚祝いだそうですよ」
「けっ……!」
さっと顔が赤くなる。
ちらと見れば隣のアスベルも赤くなっていて、なんだかさらに恥ずかしくなってきた。
「二人して何を今更照れているんですか」
「え、あ、いやその……」
「な、なんだか照れてしまって……」
「……ほら、早く行きますよ」
また大きくため息を吐かれる。
それにアスベルと顔を見合わせれば二人して真っ赤で、なんだかそれがちょっとだけ嬉しくて。
思わずふにゃ、と笑い合った。