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男のそれに反応するより前に、扉から入ってきた片腕を出した体格のいい男が、わたしたちと対峙する男をリーダーと呼んだ。

「リーダー! 神子たちが侵入してきたもようですぞ!」
「コレットが?」
「お前は……イセリアで襲ってきたディザイアン!」
「え?」

ロイドの言葉に、そうか、神託の時にもディザイアンに襲われたらしいと思い出す。
わたしは見たことがなかったから気付かなかった。というか、直接神託を邪魔しに来た彼らの基地に、コレットたちが侵入してきたというのも驚きである。危険な行動すぎる、と思ったけれど、でももしもジーニアスが彼女たちに合流することができたのなら、間違いなくする行動だろうと納得した。
一方で、神託の時に襲ってきたという男は、ロイドを見て笑い声をあげた。

「お前がロイドだったのか。これは傑作だ!」
「ボータ。私はいったん退く。奴に私のことを知られては計画が水の泡だ」
「神子の処理はいかがしますか?」
「お前に任せる」
「了解しましたぞ」
「ロイド、次こそは必ず貴様を我がものとする。覚悟しておくのだな!」

何か誤解を招きそうな捨てセリフだな。
なんてのんきに考えている場合ではない。いつの間にか囲まれてしまい、じりじりと後退していく。
だがその時だ。
ボータと呼ばれた男の背後で扉が開く。
飛び込んできたのはジーニアスとクラトスさん、そしてコレットだった。

「ロイド! 生きてる?」
「だいじょぶ? 怪我はない?」
「無事のようだな」
「みんな! 来てくれたんだな!」
「丁度いい。ここで神子もろとも始末してくれようぞ!」

感動の再会、なんて余裕は当然ない。数人のディザイアンと、大きな剣を持ったボータとが突進してくるのを見て、慌てて帯を広げて彼らの視界を奪って牽制し、コレットとジーニアスを後ろに下がらせた。
二人は自分たちの距離を取ると、そこからそれぞれの攻撃を繰り出す。

「レイトラスト!」
「決まれ! エアスラスト!」
「奴らとの違いを見せてやろう。岩砕陣!」

床を抉り、その破片をも使った攻撃は、少し離れたくらいでは避けきれない。
せめて他の兵士を相手にしているロイドとクラトスさんが戻るまではと帯を手繰り寄せて、同じように床に突き刺した。

「真似させてもらうよ! 岩砕陣!」

かなりパワー不足だけど、その点は仕方ない。こちらはエクスフィアなど持たない一般人なのだ。それでもほぼ同じ技を返してみせれば、僅かながら怯んでくれたらしい。
ほんの一瞬ではあったけど、その一瞬で駆けつけたクラトスさんは勢い良く突きを繰り出した。

「瞬迅剣!」
「ぐ、うう……っ力量をはかり損ねたか……やはり貴様に対して、私一人では荷が勝ちすぎたか」

突き刺された箇所をおさえて、ボータは降参だとばかりに武器をごとりと落とした。
そのまま奥の扉へと逃げ込みロックをかける。ここはあまり深追いをするべきではないだろう。そう判断して、とりあえず無事に生き残れたことに息をつくと、今度は後ろの扉からリフィルさんが現れた。
そういえば彼女も一緒に旅に出たのに、今の今まで姿が見えなかったことに今さら気付く。もうそれどころじゃなかったのである。リフィルさんはわたしたちが無事に立っているのを目で確認すると、それ以上は何も言わず、そのまま落ちていたボータの剣へと近付いた。

「これは……確か……」
「先生!」
「ああ、二人とも。ジーニアスからいろいろ聞いているわ。この子が迷惑をかけたわね。ごめんなさい」
「俺の方こそ、ジーニアスまで巻き込んじゃって……ごめん」
「つもる話は後だ。いつまでもここに留まっているのはよくない」
「その通りだわ。今、脱出口を開いてきたの。行きましょう」

なるほど、脱出経路の確保をしていたのか。
しかも、つまりはあの機械たちを動かせたということである。機械にそれなりに触れて育ったわたしでもちょっと扱うのが厳しかったのに、さすがはリフィルさんだ。
そう褒め称えたいけれど、剣を持ったままさっさと退避するリフィルさんは言葉なんて何も求めてなくて。彼女らしいそれに少し苦笑しながら、とにかく一度トリエットまで戻ろうと駆け出した。