「……おっしゃるとおりです。ドアさまはディザイアンと通じ、神子さまを罠にはめようとしています」
はっきりとドア総督とディザイアンが繋がっていると言われて、ああ、とがっかりするのがわかる。
疑っていた。予想していた。けれど、あんなにも町の人を勇気付ける人が、ディザイアンと本当に繋がっているのだという事実に、やっぱりどうしても悲しくなってしまう。
「どうしてそんなことを」
「昔はこんな方ではなかった……本当に町のみんなのことを考えておられたのです。五年前、クララさまを亡くした時も、ディザイアンと対決することを誓っていたのに……」
「それなのにどうして……」
「わかりません。ですがこのまま突入しては神子さまの身が危険です。ショコラは私に任せて、どうか先にお進みください。世界を再生するために」
「ふむ。確かに世界再生を優先するなら、ここは捨て置くべきだろう」
「だめだよ! このまま見過ごすなんて出来ない!」
クラトスさんの言葉を、コレットがすぐに否定した。
ジーニアスもそれに乗って、放っておきたくないと首をふった。
「そうだよ。このまま放っておいたら、パルマコスタもイセリアみたいに滅ぼされちゃうかもしれない。そうでしょ、ロイド?」
「そうね。でもここは敢えてクラトスの意見に賛成したいわね。町が滅ぶのが嫌なら、今後不用意にディザイアンに関わらないことだわ」
「そんなのだめだよ。世界を再生することと、目の前の人を救うことはそんなに相反することなの? 私はそうは思わない!」
強く主張するコレットに言い返すつもりはない。この旅はあくまでコレットが中心なのだから、彼女がそうだというならそれに従うまでだ。
ううん、そもそも、彼女の意見が正しいのだ。見て見ぬふりをするのも、虐げるのと同じこと。助けられるのであれば助けたいと思うのは正しいこと。
だからリフィルさんも、そっと宥めるように言い聞かせる。
「コレットがそう言うなら、私にそれを止める権利はなくてよ。この旅の主導権を握るのは神子であるあなたですもの。ロイドもナギサも、それでよろしい?」
「俺ははなからそのつもりさ。言ったろ。牧場ごとぶっ潰すって」
「しかし……」
「神子さまがお決めになったことなんですから、いいんですよ」
やんわりと言えば、ニールさんも黙る。
次の問題はこのまま牧場に潜入か、それとも一度ドア総督のところに戻って抜け道や真意を聞き出すかということだ。
個人的にはこっそりと中に入りたいから総督のところに行きたいけど、主導権を握るコレットはロイドに任せると言ったからたぶん、正面突破だな。
「正面突破だ! 奴らの罠なんか知るか。早くショコラを助けてやろうぜ!」
「賛成!」
「私も。ショコラさん、きっと心細いもんね」
「賛成したくないけど、仕方ないわね……」
「ロイドに任せたらそりゃあね……ま、わかりやすくていいんじゃない?」
「仕方ない。行くぞ」
ほらね、と。予想通りの反応に苦笑しつつ、さっそく突入しようと歩き出す。
それを止めたのはニールさんだ。彼はしっかりと腰を曲げて、わたしたちに懇願する。
「お待ちください! 私もお連れください!」
ここで彼を連れて行ったところで、正直いいことは何もない。足手まといになるだけだ。彼だって、それがわからないわけではないだろう。
けれど、神子を騙そうとしてしまった罪悪感からか、本当に心から現状を変えたいと願っているのか。彼は、見つめ返すロイドから目をそらさない。
しばらく見つめあったあと、やがてロイドがわかった、と目を閉じた。
「……いいぜ」
「いいの? 危険なんだよ」
「俺もイセリアでコレットの旅について来るなって言われたとき、やっぱ悔しかったからさ」
「頑張ろうね、ニールさん」
絶対にみんなを助けましょう、とコレットが笑いかければ、彼はたちまち笑顔を浮かべる。
そうして、彼は力強くうなずいた。
「ありがとうございます! 決して足手まといにはなりません」