34-2

「わあ、おもしろい!」
「すげえ!」

間欠泉から聞こえてくるロイドたちの歓声に、思わずため息が出る。
元気だ。もう気持ちを切り替えて観光モードに入っているらしい。
すごいな。若さというより、たらいを楽しめた者の余裕か。わたしもリフィルさんもまだ疲れ切って動けずにいるのに、すごい。

「……元気だなー」
「間欠泉っていうのはね、周期的に熱湯や水蒸気が吹き上がる温泉のことなんだよ」
「お、おう、知ってるぜ」
「あ、像ってあれかなあ」

のろのろとした動きで彼らに合流して、コレットが指差した方向へ視線を向ける。湯気で良く見えないけれど、確かに、彼女の示した場所に像のような影が見える。
すごい、よく見えるな。目が良くてえらいねえ、と頭を撫でると、嬉しそうにはにかんだ彼女に心を癒されながら、当初考えていた回収作戦を確認する。

「本当だ。ここでジーニアスが氷の魔術を使えばいいんだよね」
「ああ。凍っている間に俺が取りに行くんだ」
「ロイド、頑張ってね。無理しちゃ駄目だよ」
「私の治癒術にも限界があるのよ」
「お前は調子に乗りすぎる」
「わ、わかってるよ。なんだよ、みんなして……」
「みんなロイドが心配なんだよ」
「大丈夫だっつーの。じゃ、頼むぜジーニアス」
「うん、任せて!」

ジーニアスがアイシクルを放つと、みんなの声を背負ってロイドが飛び出した。
軽やかに岩を伝って渡るロイドをはらはらしながら見守っていると、ふとコレットが首を傾げる。

「あれ……」
「どうした?」
「あの展望台の看板……なんだか見覚えがあるような……」

ロイドをジーニアスに任せて、コレットと一緒に展望台に進む。
間欠泉について簡単な説明のある看板のその裏を見ると、そこには看板を支えるようにして見覚えのある石版が設置されていた。
刻んである文字も、形も、全部。トリエットで見たものと同じもの、である。

「あ、これって神託の石版じゃない?」
「そっか、だから見覚えがあったんだね〜」
「なるほど! ここが次の封印なわけだな!」

声が聞こえたのか、さっきまで気分が悪そうだったリフィルさんが歓声を上げてこちらに駆け寄ってくる。
うーん元気だ。ついでにげんきんだ。全然うまくないね。

「よーし、取ってきたぜ!」
「お疲れ様ロイド。じゃ、封印解放だよ」
「は?」

ジーニアスと共に像を持ってきたロイドにそう告げる。
ほら、と石版を示せば、彼はがっくりと肩を落とした。

「……なんだよ。像を取ってくる必要なかったじゃん……」
「これからのためになるでしょ。ありがとうロイド」
「まあ……それならいっか。よーし! 行くぜー!」