「うおおおおーっ!」
「小癪なあっ!」
わたしたちがクヴァルのいる司令室に入る頃には、すでに戦いは佳境を迎えていた。
杖と双剣が二人の間でせめぎ合う。何度弾かれても切りかかって、何度防がれても切りつける。周りのディザイアンたちの攻撃をコレットたちが受け止めて、しのいで、追い詰めていく。
強い意志を持ったロイドの剣は、やがてクヴァルを圧倒して、彼に決定的な隙を生ませた。それを見逃すようなことは決してしない。
「クラトス!」
「わかっている!」
ロイドの声にもう一人の剣士が応える。
そして、同時に剣を突き出し床を蹴った。
「衝破!」
「十文字!」
ロイドとクラトスさんの剣が交差する。クヴァルの体を貫く。
二人の剣を受けて、クヴァルは膝から崩れ落ちた。
そのまま床に倒れた仇を見下ろしてから、ロイドは自分のエクスフィアへと視線をやり、は、と息をもらした。
「母さん……見ていてくれたか」
「……ありがとう」
クラトスさんが小さく呟いた。
何故感謝を、とロイドは彼を見たが、たぶん彼の奥さんたちのことだろう。
ロイドも強くうなずいた。
「……っ、ああ! 母さんの仇を……倒したんだ!」
「……ロイド。お前の母親を殺したのは……お前の父親だ」
「それでも、父さんにそんなことをさせる原因を作ったのはクヴァルだ。そうだろ?」
「そうだな……バカなことを聞いた。許してほしい」
クラトスさんの呟きを聞きながら、わたしたちは彼らに駆け寄る。
戦いは終わったけれど、まだまだやることはある。情報も共有しないといけないし、この牧場も再び爆発させるなら急いだほうがいい。
「ロイド、ショコラさんの居場所がわかったよ!」
「本当か?」
「っ危ない!」
そう思って、駆け寄って。その後ろで、いつの間にか立ち上がったクヴァルがロイドに向かって杖を振り下ろすのが、見えた。
危ない、と足を踏み出すが間に合わない。けれど、それはロイドを傷つけることはなかった。
代わりに、前に飛び出したコレットの華奢な体に傷を刻む。ロイドの胸に倒れ込んだ彼女の背中には、遠目から見ても酷い怪我をおっていた。
「コレット……!?」
「ロイド……だいじょぶ?」
「あ、ああ……だけど、お前!」
「私なら、だいじょぶ」
ずるずると体を引きずって、クヴァルが逃げ出そうとするけれど、そんなことはこの場の誰も許さない。
一番足の速いしいなが彼の前に立ち塞がる。目の前に現れた彼女に、彼の足が止まる。そして、コレットをリフィルさんに預けたロイドが、再び剣を握りしめた。
「……許さねえ!」
ロイドの剣がクヴァルに突き刺さる。それだけでは終わらない。今度はクラトスさんが切りかかった。一撃。二撃。クラトスさんの持つ剣が、クヴァルを斬りつける。痛みを。怒りを。刻むように。
彼は、クヴァルは、まるで世界中を憎むような目で、クラトスさんを見た。
「クラトス……この劣悪種があっ!」
「その劣悪種の痛み、存分に味わえ!」
最後の一太刀が、彼の体を深々と貫く。
怒りに満ちた声が、その場に響いた。
「地獄の業火でな!」