事務的なやり取りで契約を終えるシャドウを眺めながら、精霊もだいぶ性格に違いがあるよなあ、とぼんやりと思う。
何はともあれ、これで無事に契約は完了だ。残る精霊はあと一つだけ。
終わりの見えてきた戦いに、わたしたちはほっと息を吐いた。
「次が、最後の契約になるんだね」
「ええ。あと少しで、世界はクルシスの楔から解放されるのね」
「そうしたら、世界はどうなるんだろう?」
「世界がバラバラになっちまうんだろ? いいんじゃねーの? 今より状況が悪くなるとも思えねーし」
「でもま、最後の契約に行く前に、俺たちも身の振り方を考えた方がいいかもな」
最後の楔が抜けた時、いったい何が起きるかわからない。
今確実なのは、精霊の守護がなくなることで、マナを照射された大いなる実りは発芽するだろう、ということだけ。
離れるまで時間がかかるのか、楔が抜けた瞬間に分かれてしまうのか。それとも発芽した大樹を中心にいつまでもお互い寄り添って存続することになるのか……まだ、誰もわからない。
だからこそ。いろんなことを考えて、分かたれてしまった時のことを想定しておいた方がいいと、みんなは言う。
「……そうね。でも、すぐに結論が出る問題ではなくてよ」
「仮に世界が切り離されたとして、世界を行き来できる確率はどれほどのものだろうか」
「それはわからないわ。ただ、かなり低い確率にはなりそうね」
「……テセアラの町をまわってみませんか? 最後の精霊はシルヴァラントにいます。しいなさんは精霊と契約したら、テセアラに戻れないかもしれません」
「……そうだね。ミズホの里のみんなにも話を伝えておかないと」
彼らは移住を希望しているわけだし、今のうちから引っ越しをしないといけないかもしれない。
身の振り方を考えろと言われても、すぐにどうしようなんて決められない。
だから一回、足を止めて。一緒に契約をするためにシルヴァラントへ来るか、最悪を考えてテセアラに残るか。……少しだけ考えようと、そう決まった。
「よし。テセアラの町を回ろう。その間に、みんなの気持ちを固めてくれ」
「私たちと一緒にシルヴァラントへ来るか、それともテセアラに残るか、だね」
ロイドたちに最後まで着いていくつもりではあるけれど、テセアラで思い残したことはないか、わたしも考えないと。
たとえば、前に聞いたミトスくんの伝承、自分でちゃんと読んでみたいとか。
……ここに残るだろう、ミトスのこととか。
わたしにも、考えないといけないことは、あるんだ。