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「今まで何も告げずにすまなかった。私は罪人だ」

彼女の輝石が完全に消えてなくなったのを確認してから、リーガルさんはそう口を開いた。
その目はまだ少し赤いけれど、もう涙は見えない。新しく前を向くからこそ、これまで自分のことを話さなかったことについて、けじめをつけたいのだろう。どこまでも誠実な人だと、そう思った。

「リーガルさまはアリシアに手をかけた罪を告白し、みずから監獄に入られたのです」
「檻の中で教皇はコレットとナギサの誘拐と引き換えに、ヴァーリを捕らえると約束した。私はそれを信じ、彼女たちの誘拐を引き受けた」
「それで私たちを付け狙っていたんですね」

罰の軽減を求めるようなタイプでもなさそうなのに、どうしてリーガルさんがわたしたちをつけ狙ったのだろうという疑問も、アリシアさんのためだとすれば納得する。
形は違うけれど、プレセアちゃんと同じだったのだろう。アリシアさんを死に追いやる原因となった相手に罰を求めたかった。中途半端にしか情報を得られなかったプレセアちゃんと違って、彼は誰が原因なのか、わかっていたから。だから教皇の取引に応じたわけだけれど……結果として、教皇にその約束を守るつもりなんてなかったし、彼は利用されただけだった。
クルシスの輝石を生み出そうとした、教皇の実験。それに加担した人たちによって、プレセアちゃんもアリシアさんもリーガルさんも、みんながみんな、ひどい経験をすることになった、のだ。

「ああ。しかし、私は騙されていたのだ。アリシアの裁きはうけたが、私にはまだ昇華できぬ思いがある。……頼む。お前たちが私を裁くのは、エクスフィアで人の命をもてあそぶクルシスを倒してからにしてほしい」

必ず力になろう。そう、まっすぐわたしたちを見るリーガルさんに、ロイドはうなずく。

「もちろん。プレセアがいいのなら。俺たちはもうリーガルを仲間だと思ってたわけだし」
「……ヴァーリはアリシアの仇でもあったんですね。わかりました。私は……あなたを……仇とは思わないようにします。今すぐは……無理かもしれないけど……」
「……すまない」
「アリシアの最期の願いだから……もう何も言いません」

リーガルさんのこと、プレセアちゃんもどう受け止めればいいのか、まだよくわからないのだろう。
敵だった人。仲間になった人。仲間として一緒に戦ってきた人。妹を殺した人。けれど、妹にとってとても大切な人。
リーガルさんがどんな人か、プレセアちゃんも知っている。けれど、彼一人に対して抱く感情は複雑すぎて、多すぎて。自分の時間が止まっていた間にたくさんの出来事が起きたのだと思い知らされるような感覚も、きっとある。
それでも安易に恨むことはできないし、全部を忘れるほど簡単でもない。だから少しだけ時間がほしいと言う彼女に、誰もどんな言葉をかければいいのかわからない。
結局、祈るしかないのだ。彼らが、自分の足で、自分の時間を歩むことを。
……みんなが、満足できる選択をし続けられることを。