「まずは、現状のマナの照射を止めなくては。マナの照射が続けば、大樹はますます成長して、中和どころの騒ぎではないわ」
現在おこなれているマナの照射を止め、魔導砲を使って中和させる。
リフィルさんがまとめた話に、クラトスさんはユアンを見た。
「ではこうすればいい。ユアンよ。きさまがどこに所属し、何をしているのか、私は見なかったことにする。だから、今すぐにレネゲードへ指示を出し、マナの照射を止めろ。ロイドたちは魔導砲へ向かえばいい」
「……よかろう」
「無理です! イセリア牧場に潜入した同志は、フォシテスによって処刑されました!」
ユアンの隣で、悲鳴のような声を上げたのはレネゲードだ。
彼は、他の牧場の切り替えはすぐに済んでも、かの地だけは止められないと首を振る。
「……イセリア牧場はまだ機能している。内通者にマナ照射の切り替えをさせていたのだが……」
「それをできる人が、今はいないってことですね」
「ようするに、今から侵入して照射を止めなくちゃならねえってこったな」
「……では、私が行こう」
名乗り出たのはクラトスさんだ。
けれど、それにすぐにうなずく人はいない。今は、非常事態であるけれど……やっぱり、この場にいる全員が、彼のことを味方だとは信じ切っていないが故のためらいだった。
「貴公が? 敵対する貴公一人を行かせるというのか?」
「我らの同志を向かわせる」
「魔導砲の準備。各地の魔導炉の停止。……レネゲードにはやってもわらねばならないことが多い。余計な手勢を割くな」
「……俺が行く」
再び口論になりそうだったクラトスさんとユアンを遮るように、ロイドがそう進言する。
真剣な様子の彼に、動揺したのはしいなだ。これも当然だ。だって、わたしたちは魔導砲へ行かないといけない。
マナの照射を止めてから魔導砲に向かう、なんて悠長なことをしている時間なんてないのだ。
「何言ってんだい! こっちは魔導砲へ向かわないと」
「しいなとレネゲードで魔導砲へ向かってもらう。俺たちと……クラトスでイセリア牧場へ潜入する。しいなは、俺たちの指示で魔導砲を撃て。しいなだって、クラトスからの指示だけを信用はできないだろ」
「……そいつはそうだけど……」
「……ショコラか?」
クラトスさんの言葉に、ロイドの肩が跳ねる。
それだけで十分だ。彼が、牧場に向かう理由なんて、それだけでわかってしまう。
……わたしが守護塔を上る時に、まだまだやらなければならないことはたくさんあると、いろんな人の顔を頭に浮かべていたように。ロイドだって、忘れていないのだ。自分の手から零れてしまった人たちのことを。
「そうか。ショコラは。イセリア牧場にいるんだよね。ロイド……ちゃんと約束を覚えてたんだね」
コレットの言葉に彼は少しだけ気まずそうにしたけれど。それでも、全部まとめてどうにかしないといけない、という気持ちは変わらないのだろう。
まっすぐに己を見つめるロイドを見て、ユアンも神妙にうなずいた。
「わかった。お前たちに任せる。あとは頼んだぞ」