「コレット、大丈夫か!」
「ま、待って、ロイド!」
ロイドが駆け寄ってくるのを見て、慌てて彼女を抱き寄せる。誰も、彼女を見ないように。彼女の服の下が、見えないように。
わたしも混乱している。している、けれど。わかることはあるのだ。
コレットはきっと、見られたくない。
この服の下に、彼女の肌にあるこれを、ロイドには、絶対に、
「ど、どうしたんだ、姉貴? コレットは……っ!?」
けれど、困惑しながらも足を止めずに駆け寄ってきたロイドが息をのむのがわかって、ああ、全然隠せなかったと、うなだれる。
破れた服の下。彼女の、右腕。
……人間の肌とは変わってしまった、それ。
彼女の肩から二の腕にかけて、青白いうろこのようなものがびっしりと生えている。その感触は、きちんと触れてはいないからわからないけれど、きっと普通の肌の触り心地とは違うのだろう。
しかも、もっと近くで見たからわかる。このうろこの先……彼女の、胸元。今はわたしが抱きしめているせいで、わたし以外には見えない場所。そこにある、クルシスの輝石が、彼女の体に侵食するようにしていること。だからきっと、これは、輝石のせいだ。輝石が、コレットと一つになろうとしているのだ。
少しだけ意識を飛ばしていたコレットは、けれどロイドの反応にすぐに何が起きたかを察したのだろう。
見られたくなかったに違いない。彼女はさっと青ざめて、ロイドから身を隠すように体を丸め込んで叫びだす。
「み、見ないで! 見ないでー!」
うずくまって錯乱したコレットを見て、わたしは慌てて帯を羽織らせて彼女の肩を隠す。これでもう見えないからと、なんとか落ち着かせようと抱きしめて宥めれば、クラトスさんがロイドの名を呼んだ。
「ロイド! 早く連絡を!」
「でも、コレットが……」
「神子はまだ死なぬ! しかしこのままでは大地は死ぬのだ! 急げ!」
「あ……ああ……! わかった!」
ロイドは動揺しながらも、そううなずくとすぐにしいなに合図を出そうと駆け出す。
ユアンから預かっていた通信機を取り出すのを見送りながら、わたしはただただ、ひたすらにコレットを抱きしめることしか、できなかった。