56-1

「クラトス!」

サイバックの町に入ったところで、クラトスさんに出くわした。
つい先日も顔は見たけれど、まさかこんなに早く、しかも町中で出会うことになるとはだれも思っていなくて、その姿に思わずロイドが大声をあげる。
それから、ちらりとコレットへ視線を向けた彼を見て、ロイドはすぐに剣を抜いた。

「コレットたちを連れて行くつもりか?」
「……町中でお前とやりあうつもりはない」
「うわっ!」

あっさり、本当にあっさりとロイドの剣はクラトスさんのそれに弾かれて、ロイドはわたしのところに倒れ込んでくる。慌てて受け止めると、文字通り「相手にならない」ことを痛感したのか、ロイドはぐっとクラトスさんを睨みつけた。

「お前の腕では、まだ私を倒すことなど出来ないだろう」
「バカにするな!」
「事実を言ったまでだ」

淡々と答えて、そのままわたしたちを通り過ぎようとする。
だがその前に一度コレットの横で立ち止まると、そっと言葉を発した。

「再生の神子。生きたいと思うのなら、その出来損ないの要の紋を外すことだ」
「……嫌です。これはロイドが私にくれたものだから、絶対に外しません」
「……バカなことを」

ぐっと目を閉じて、クラトスさんは改めて歩き出す。
そのまま町の外に消えて行くのを見て、ロイドから僅かに力が抜けたのを感じた。

「あいつ、コレットたちを狙ってきたわけじゃないのかな?」
「そう……みたいだね」
「しっかし偉そうな奴だなあ。すかしたしゃべり方しやがって」
「アンタはその下品なしゃべり方を直したらどうだい」
「でひゃひゃ」
「それよりロイド、そのケイトという人のところへ行かなくては」

クラトスさんが消えた方向を見つめていたロイドは、リフィルさんの声に一度うつむいて、それからしっかりと頷いた。

「……そうだな。急ごう」