71-3

「くそっ、数が多くて話にならねえ!」

教皇騎士団を倒して、せめて話し合う時間を作ろうと思ったところで、なかなか戦闘は終わらない。
いいや、わたしたちもだいぶ強くなったし、これくらいで負けたりはしないのだけれど。いかんせん数が多い。教皇騎士団はいつもそうだ。とにかく数でこちらを圧倒してくるので、どうしても体力がもたないし、いつまでたっても戦いが終わらない。
今も、いったいどれだけの兵を用意していたのやら。倒しても倒しても湧き出てくる彼らに息が切れてきた頃、しいなが耐えられないとばかりに叫んだ。

「くちなわ! お願いだよ。ロイドたちは巻き込まないでくれ。あたしが憎いんだろ? だったらあたしだけ殺せばいいじゃないか」
「何馬鹿なこと言ってるんだ!」
「いいんだ! くちなわ……頼むよ!」
「よし、いいだろう」

くちなわさんが何かを合図すると、それまで執拗に攻撃してきた教皇騎士団が武器を収める。一定の距離を取ってこちらの様子をうかがう姿勢になった彼らを見て、ずいぶんと仲がいいんだな、と思った。
攻撃がやんだのを見て、しいなはゆっくりとくちなわさんに向かって歩きだす。自分の命だけを差し出すつもりで。
……誰かのために体を張るのは良い。でも、命を投げ打つつもりならだめだ。わたしたちは、誰かの命を犠牲にしないために、戦っているのだから。

「待って!」
「……冗談じゃねーぞ! アホしいなが!」

思わずわたしとゼロスくんが叫んだ時、月がいつもより輝いて見えることに気付いた。
ううん。違う。月が輝いているというより……月から光がこちらに向かって放たれてきているのだ。何かの道を作るように、一直線に伸びてくるそれは、けれどわたしたちを攻撃するのでは無く、異界の扉へと到着する。月の光に呼応するように岩の模様が光って、異界の扉の中心で渦のような何かが開くのが見えた。
……きっと、あれが、「異界の扉」だ!

「みんな! 異界の扉が!」

今ならあそこからどこかへ行ける気がする。そう思って叫べば、ゼロスくんはしいなの手を無理やりに掴んで、そのまま力任せに引っ張った。

「ロイド! 来い!」

その勢いのまま、開いた渦へと彼らは飛び込む。
わたしたちもそれに続いて、扉へ飛び込んだ。