「うわっ!」
少しの間、妙な浮遊感を覚えたかと思うと、次の瞬間には眩いほどの日の光を感じて、急に重力に体を引っ張られて地面に落ちる。
受け身も何も取る時間はなくて、思い切り打ち付けたお尻は結構痛い。他のみんなもいたた、と小さく呻いてるあたり、かなり強引な移動だったのだろう。移動、と言っても、どこに移動したのかはまったくわからない。
少しずつ目を開けて光に慣れてから、あたりをうかがってみる。開けたそこは、近くに森があるみたいだけれど……はて。どこだろう。
「……ここはどこだ」
「……たぶん、パルマコスタのはずれ……だわ」
「シルヴァラントですか?」
「……マナの量は増えてるみたいだけど、間違いないよ」
「本当につながってたんだ……」
異界の扉が二極であり、そこで二つの世界が繋がっている、とか。ここを通ってリフィルさんたちはシルヴァラントに渡ったとか。満月の夜には黄泉の国に繋がるとか、いろいろと情報はあったけれど。飛び込んだ時はもうそれどころじゃなかったので、こうしてあっさりと移動できたことに、どうしても驚いてしまう。
どうやらあの後すぐに扉は閉じたのか、わたしたちを追ってきた人はいないらしい。メンバーの欠けもない。とりあえずよかった、と胸をなでおろした。
「うひゃ〜、こんな形でこっちに来るとは思ってなかったなあ……」
「ゼロス! どうして邪魔したんだい」
よっこいせ、と立ち上がるゼロスくんに、しいながそう言ってくってかかる。
余計なことを、と憤る彼女を見て、ゼロスくんは呆れたとため息を吐いた。
「……あのな〜、お前だって死にたかったわけじゃねえだろ」
「……それは」
「第一、お前が死のうが死ぬまいが、あいつらは俺たちを狙ってきたはずだ。教皇の命令ならな」
「くちなわが教皇とつるんでるっていうのかい?」
「そうね。一緒にいた刺客は教皇の手のものでしょう」
「間違いないな」
どうして彼らがここに、と考える間もなく戦いが始まってしまったけれど、くちなわさんの後ろから現れて、攻撃を止めるタイミングの指示を受け取っていたのは間違いない。
それで、あの教皇騎士団と彼がその場に居合わせただけの無関係な人間である、なんて言い訳が通るはずがないのだ。
わたしたちは一緒に行動しているわけだし、しいなを殺そうとすれば自然と神子であるゼロスくんを排斥するチャンスも増える。利害は一致している。
それがわからないしいなではない。言葉をなくしてしまったしいなに、コレットは両手を握った。
「……しいな。無茶しちゃだめだよ。私と同じ間違いはしちゃだめ。自分を犠牲にしてもいいことはないよ」
「そもそも、そうやって命を犠牲にしないために、わたしたち、戦ってるんだからね」
「そういうこと。ゼロスにお礼をいえよ、しいな」
ロイドにまでそう言われれば、しいなだって無視するわけにはいかない。少し気まずそうに目をそらして、けれどしっかりとゼロスくんにお礼を言った。
「……ありが……とう……」
「なーになーに。キスの一つや二つくれても罰はあたらないぜ」
「……ゼロスくん。最低です……」