せっかくシルヴァラントに戻ってきたのだ。どうせテセアラに戻る方法もないし、こちらの世界で何か変化が起きていないか、ディザイアンの動向はどうなっているのか、情報を確認しておこう、と決めて、わたしたちはパルマコスタへとやってきた。
ついでに、戦うことのできないミトスは総督府に預けることにした。彼は一緒に戦いたがったけれど、こればかりは仕方ない。リフィルさんとジーニアスに止められれば、渋々ながらも了承してくれた。
「神子様! 皆さん! 封印解放の旅は順調ですか?」
総督府で出迎えてくれたニールさんの笑顔と言葉に、わたしたちはどきりとする。
そうだ。そうだった。救いの塔にはたどり着いたし、長いことテセアラにいたのもあって、どうにも意識から抜けていたけれど。こっちの世界では、まだ「再生の神子が世界再生のために旅をしている途中」なのだ。
衰退し滅びに向かう世界を救うために、神子さまが各地の封印を開放している途中。彼らはクルシスとディザイアンの関係も、二つの世界のことも何も知らない。だから、その問いが出てくるのも自然のことだ。
自然なことだからこそ、そのことが抜け落ちていたとは言えるはずもなく。ましてや、救いの塔で天使になることを拒んだなどと、言えるわけもなく。
コレットが申し訳なさそうに口を開くのを見て、ロイドが慌てて口を開いて、ミトスの背中を押した。
「あの……実は……」
「ああ、じゅ、順調です! それよりちょっとこいつを預かってほしくて」
「……? それは構いませんが、この子は?」
「わけあって一緒に旅をしているのだけれど、これから私たちが向かう場所はかなり危険なのよ」
「ではもしや、パルマコスタ牧場へ向かわれるのですか!」
きょとん。ニールさんの言葉に、わたしたちは顔を見合わせる。
だって、おかしい。パルマコスタ牧場のこと、まだちゃんと覚えている。ショコラさんのことも、そこで戦ったマグニスのことも、牧場を爆破したことも。
それなのに、どうしてパルマコスタ牧場へ行くことが選択肢にあがるのだろう。
「え? それってどういうこと? あそこはつぶれちゃったでしょ」
「違うのですか? 最近、ディザイアンが牧場後をうろついていると報告を受けて、我々も警備を厳重にしていたのです」
「まさかマグニスが復活したのかな?」
「さすがにそんなことはないと思うけど……」
あの時、彼は確かに絶命したはずだ。仮にまだ生きていたとしても、爆破される牧場から出ていくほどの体力は残っていなかっただろう。不死身の肉体を持っている、なんてこともありえないし。
他の牧場からディザイアンが補充されたとか? でも、施設を一から作り直すことになるし……どうなんだろう。
「関係があるのかはわかりませんが、ここしばらくイズールドとパルマコスタを結ぶ海路でディザイアンの襲撃を受けると聞いています。どうも海底に何か巨大な建造物を作っているようだと」
「あの海域には絶海牧場があったわね」
「気になるな。ロディルが建設している魔導砲かもしれない」
「気になるなら確かめてみればいいじゃね〜の」
「それに魔導砲がはずれても、パルマコスタの牧場が本当に復活したのなら、この町もルインの二の舞になっちまうよ」
気になることはたくさんある。
そして、それを確認するには、直接行ってみるしか方法はない。
わたしたちは、いつだって情報が足りていないのだ。
「そうだな。とりあえずパルマコスタ牧場へ行ってみるか」
「……ということらしいわ。無事に帰ったら、彼を引き取りに来ますから」
「わかりました」