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体が大きいというのは、それだけで脅威だ。適当に腕を振るうだけでも大きなダメージを与えてくるし、攻撃も避けづらい。
しかもわたしの場合は武器が帯のせいで、基本的に攻撃を受け止める、ということができないのだ。使い込むほど繊維が硬く結びついて決して切れなくなるとは聞いているけれど、そもそも受け止めきれない。だから、なんとか受け流さないといけないのだけれど、巨体相手だとそれも難しい。

「くそっ!」
「こういう、力任せの攻撃、きらい……! 爆砕陣!」

せめて転ばせてやる、と思って足元を狙えば、ロディルは大きく体を崩す。
それでも、さすがに五聖刃の一人というところか。ロディルは体勢を崩しながら、ほとんど詠唱もなくグラビティの魔法が発動させた。重たい。地面に縫い付けられるようなそれに、わたしたちの動きが大きく制限される。
でも、数の力はやっぱり強い。魔法の範囲外にいたプレセアちゃんが飛び出して、大きく切りかかる。

「双旋連斧!」
「サンダーブレード! ……プレセア!」
「はい! 雷旋豪転斧!」

ジーニアスの雷をまとった斧が、思い切りロディルの体を抉る。
攻撃をする面において巨体は有利だけれど、攻撃をよけにくい、というのは、彼も同じだ。大きい的を、彼女は逃さない。

「とどめです。塵と化しなさい。……これで! 終わりです! 緋焔滅焦陣!」

プレセアちゃんの叩きつけた斧が地面ごと彼を強く抉り、勢いよく打ち上げた後に再びたたきつける。
彼女の怪力をそのまま乗せた重たい一撃を受けたロディルは、大きくよろめくとぶるぶると震えだした。

「くう……なんということだ……私の身体が……体が……朽ち果てていく!」

ロディルが言葉を発するのと同じ速度で、その巨体がどろどろと崩れていく。
あれは、どういうことだろう。膨れ上がっていた体がばつんばつんと音を立てて弾けて、どろりと崩れて形を失っていく。
やはりあの姿は、輝石の暴走によるものだったのだろうか。詳しく調べることはできないから、彼がよろよろと壊れていくのを見るしかできない。

「だましたな……プロネーマ……!」

恨みを込めた低い声と共に地を這いながら、ロディルは大きな装置にもたれかかる。

「しかしただでは死なんぞ。貴様たちも道連れだ!」

装置を叩くように腕を振り下ろしたあと、彼の体は完全に溶け落ちた。