75-2

「みなさんっ! 後ろを!」

うなだれるわたしたちの体を無理やり動かすように、プレセアちゃんの声が響く。
その声に導かれるように後ろを振り向けば、壁にあった檻が開いて、少し小さい体の飛龍が大量に飛び出してくるのが見えた。

「な……なんだ!?」
「運搬用の飛龍でしょう。自爆システムの解除で、檻が開いてしまったんだわ」

この飛龍の幼体たちは、自分の主人が死んでしまったことを知っているのだろうか。それとも、主人以外は全員敵であると教え込まれたことを、今も忠実に守っているのだろうか。
運搬用、とは言うけれど、その鋭い牙と爪でもって、彼らは襲い掛かってくる。
しょっちゅう、数が多い方が有利、と言っているけれど。それは相手だって同じだ。いったい何匹飼っていたのやら。倒しても倒しても湧き出てくる飛龍に、どんどん体力が削られていく。大きな怪我はしていないけれど、一体一体の体力も多いのでかなりキツイ。

「逃さん! 受けてみよ! 牙連絶襲撃! これで、最後だあ!!」

リーガルさんが何度も飛龍を蹴り上げて、他の個体を巻き込むように吹き飛ばす。そうして最後には高く飛んだ彼が一気に貫くことで大きく数を削ったが……やっぱり、まだまだ数が多い。わたしたちみんなで攻撃を与えているのに、全然体力を削れた気もしない。

「これじゃあきりがないよ!」
「くそ! なんてタフなんだ!」
「これじゃあ、ボータさんのメッセージ伝えられないよ……」
「……ミトスっ!」

息切れをしていたジーニアスが、不意に懐から笛を取り出す。ミトスの笛だ。彼はそれに息を吹き込むと、どこか懐かしい音色があたりに響いた。
その時だ。突然、地響きと共に上のドームが割れて、飛龍が悲鳴を上げる。何かが飛龍の体を貫いたのか、今までぴんぴんしていた飛龍が、どうと地面に落ちて動かなくなった。

「な、なんだ!?」

みんなで上空を見ると、何か大きな影がドームの上を通る。
あれは……大きな鳥、だろうか。逆光のせいで、ただの影にしか見えない。
けれどどうやら、先ほど飛龍を貫いた何かは、その影が放っているようだ。いくつもの光弾が降り注いできたかと思うと、それは次々と飛龍を打ち破り、沈黙させていく。わたしたちに流れ弾は飛んでこない……ということは、わたしたちを助けてくれた、のだろうか。

「今のは……精霊?」
「ナギサ! ジーニアス! リフィルさん! みんな!」

戸惑うみんなをよそに、どこかからかミトスの声が落ちてくる。
どうして。さらに困惑すれば、ドームの端から、レアバードに乗ったミトスが顔をのぞかせた。……ど、どうしてここに!?

「ミトスの声だ!」
「どうしてミトスがここに……」
「レアバードで脱出してください!」
「詮索は後にしましょう」

とにかく脱出するのが最優先だというリフィルさんの言葉にうなずいて、わたしたちは急いでウィングパックから取り出したレアバードに飛び乗った。