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「うひゃんっ!」


長斧の隙間を縫うようにして繰り出されてくる突きに、ヴェルディは上手くガードすることも出来ずに次々と切り傷を作っていく。

そもそも軍人と一般人でまともな戦いが出来るはずがないのだ。
逃げ続ければいいかとも考えいたが、シェント相手にそれは不可能だった。

単純な攻撃力や先の読めなさならアーリアよりは弱いらしいが、ヴェルディにはどちらも変わらない。


「ちょおあんた、少しくらい加減したってやー!」

「時間稼ぎされてやってんだから感謝しろぉい。つかマジに一般人かぁ?実は強いんです設定じゃねぇのかよぉ。」

「そんなん物語だけじゃアホ!」


噛みつくように怒鳴って、ギッと睨む。
シェントは多少つまらなそうだが、特に彼女を振り切って進むつもりはないらしい。

これが軍の任務なら違っただろうが、フォルキシアは大嫌いなのだ。

だから彼の邪魔になるならいいかと、シェントは自分から時間を稼ぐ為に言葉を紡ぎ出す。


「なんでそんなにアイツの為に頑張るんだぁ?押し付けられたんだろぉ?」

「ホンマ、どこまで知っとるんじゃか…」

「自分を貫くのは結構だが、理解出来ないぜぇ?」


ゼハハッと特徴的な笑い声を零す。
ヴェルディも、ゆったりとした笑みを浮かべた。


「…うちかてズッコいだけじゃ。ほんでもなぁ、段々愛しくてたまらんくなるんよ。あんたにもそういう子、居ったんとちゃう?」

「…さぁて、なぁ。」

「それになぁ、あの子、期待には応えてくれる子ぉじゃから。」

「…!!」


ザッと、シェントはそこから勢い良く飛び退いた。
少し遅れて、彼が立っていた場所に音を立てて銃弾が撃ち込まれる。

どこから、と素早く辺りを伺う彼とは対照的に、ヴェルディはとても穏やかにそこに立った。


「…全く、遅かったやないの。」

「でもちゃんと間に合ったぜ?」

「ほうじゃな。さすがうちのラルドくんじゃ。」

「俺のだっつの。」


軽口。
涼やかな風を浴びるように交わされたそれは、確かに彼女の後ろから聞こえる。

タン、音を立てて影が落ちてくる。
青い子供を抱えたそれが、不敵に笑う。


「おかえり、アルヴァート。」

「ただいま、ヴェルディ。お前の自慢の息子様が来てやったぜ?」