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ルミナリエはここ、フルルユア領の花の船都、ルーリに生まれた幸福の子供だ。
彼女に会えばその日は怪我もなく平和に過ごせるし、彼女と一緒にいれば大抵の物事は上手く行く。
そうして彼女から奇跡のように与えられる幸福を人は享受し、彼女もまた幸福そのもののように、笑った。
「ルミナリエ君は、とても幸せだね。」
ベッドで寝ていたルミナリエに向かって、フォルキシアはそう笑いかけた。
海軍本部のあるキルライシエ領へ行ったシェントと入れ替わるようにここへ“休暇”に来た彼は、このところ毎日のようにルミナリエの所へ通っている。
何人もの幸福の子供に出会っている彼は、だからこそそう問い掛けた。
「儂が会う幸福の子供達は皆どこか悲しそうなのに、君は心から幸せそうだ。」
「…おじさまが、居るから。」
ポツリ、答えが返ってくる。
「昔に言ってくれたんです。ルミナリエがみんなを幸せにするなら、おじさまがルミナリエを幸せにするって。だから、ルミナリエは幸せなのです。」
そう満足そうに笑うルミナリエは、確かに“幸福の子供”だった。
幸福に愛された、少女だった。
だからフォルキシアも柔らかく笑って、彼女の頭を撫でる。
全ての幸福の子供達も、こうやって笑えたらいいと願いながら、彼女に触れる。
だからこそ、そんなものは空想なのだと諦めた。
「…いいおじさまだね。それなのに、彼には伝えないのかい?」
「…エルお兄さんにも黙ってて貰えるように頼みました。ルミナリエは、最後まで幸せな子でいたいんです。」
もう消えそうな、灯。