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キンッと金属音を響かせて、銃と剣が交錯する。
アルヴァートに撃たせまいとしきりに距離を詰めてくるシェントにアルヴァートは舌打ちをしながら、なんとか体制を崩そうと足払いをかける。
シェントはそれに再びアルヴァートを斬りつける事でなんとか踏ん張り、彼の撃った弾は腕を掠らせるだけに留めた。
同時に、ピッとアルヴァートの頬にも浅い傷が走る。
「やっぱ簡単にはいかねぇなあ。」
「その方が燃えるだろぉ?」
「まぁな。」
二人、軽く笑い合う。
まるでスポーツでもやるかのように、武器を構える。
「ところで知ってるかぁお前。なんで幸福の子供って呼び方になったのか。」
「知らねえし興味ねえな、んなもん。」
「まあ聞けぇ。これはお前がアイツと居たいなら知らなきゃなんねえことだぁ。」
くるくる、剣を指で遊ぶシェントに、アルヴァートは容赦なく弾を撃ち込む。
シェントはそれを剣で弾くなりしてダメージを最小限に留め、言葉を続けた。
「アイツら幸福の子供ってなぁ、なんでか15歳くらいまでしか生きらんねえんだ。」
…一瞬、アルヴァートの動きが止まった。
戸惑った。
戸惑いは隙となり、その隙が見逃される事は当然なく、アルヴァートはガードも取れないまま勢い良く蹴り飛ばされた。
塔の外壁に背中を打ち付けて、息を詰まらせる。
ここに連行される時の傷も、アーリア打たれた頬の痛みも何も癒えてなどいなかっただろう。
ずり落ちるようにしゃがみ込んだ彼に、シェントは優雅に両手を広げて話を続けた。
「だから17歳の奴がそうだったってのはかなりびびったけど…あれは傷のおかげなのかねぇ。ま、だから幸福の“子供”なんだなぁ。」
「…は。ってことは、あんたは幸福の子供の死に様を見たってことか。」
「…アイツはいいな。アイツは救いだ。誰かを幸せになんてしない。しなくたっていい。最初から飛べないんだぁ。だからもっと生きるかもしれない。けどなぁ。」
アルヴァートの質問には答えず、シェントは続ける。
どこか寂しそうに海を見て、空を見て。
すっかり高くなった陽が照らす青を見る。
「わからなくなるんだ。本当に幸せだったのかさえも。空か海から知らないが、連れてかれちまうんだろうなぁ。」
あの日、彼は間に合わなかった。
知らされなかった彼は、最愛の姪の最期を見届ける事が出来なかった。
その時彼女と共にいたエルトゥリもフォルキシアも、シェントには何も伝えず…フォルキシアに至っては、仕事すら寄越した。
もうわからなかった。
本当に彼女を幸せに出来たか、一緒に居て自分は幸せだったのか。
その想いごと、幸福に愛された子供は眠ってしまったから。
「だから止めとけ。大人しくアイツを渡すかお前が捕まるか。どっちかにすることだぁ。」
そう剣の切っ先を向けて来たシェントに、アルヴァートは。
ただ静かに、空を仰いだ。