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「ああもう、どこ行ったんだよ…」


ラルドを見失って早数分、これは完全に迷子探しだなとアルヴァートはがしがしと頭を掻いた。

ただでさえ祭りで人が増えているのに、小柄なラルドを見つけるのは一苦労だ。
子供の姿ももちろん見かけるが、どれもあの青い服は着ていない。


(やべーな。見つけらんなかったら絶対にカタリーナに怒られる。つか俺が怒る。)


彼自身は全く理解していないようだが、元々気のいい奴らばかりのあの船でラルドはかなり可愛がられているのだ。
自分もかなり可愛く思っている。

あの少年はそういった好意に慣れていないのかかなり鈍感で、泣き虫だから。

今も一人泣いていないだろうか。
見知らぬ街で、一人で涙をこらえてはいないだろうか。


「…見つけてやんなきゃな。」


呟いて、もう一度見ていない場所を探しに行こうと足を持ち上げる。

が、しばらく立ち止まっていた事もあって丁度向かって来た人影にドンとぶつかってしまう。


「あ、わりぃ。」

「すみませ…ん?」


早口に謝って、違和感。
今聞いた見知らぬ女性の声は、つい最近聞いたばかりの声にそっくりだ。

訝しげに細められた語尾に、確信が強くなっていく。
このまま何事も無かったように走り去ろうとして…だがそれより先に、彼女にグイと顔を覗き込まれた。


「AAA…?」

「…げ。」


私服でもそうとわかるオーラを纏う、アーリア・ツィーツィラ大佐に。