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「ヴェルのやつ遅いんじゃないかい?」
「なぁに、リーナちゃんたら心配してるの?やっぱりなんだかんだヴェルちゃんが好きなんぐぼっ!」
「気色悪い。」
ゲシッとライノルズの頬を蹴り飛ばして、カタリーナはドカッと椅子に座った。
もう陽はすっかり沈んでしまったにも関わらず、昼間に出掛けて行ったヴェルディが帰って来ないのだ。
ああ見えてもう25歳になるのだから心配は無いにしろ、こうも遅いと不安になる。
そもそも自分達がいる時の用事は何が何でも午前中に終わらせて来る彼女だ。
何かあったのではと言いつつ、だが夕飯の支度をするライノルズ以外は誰も動こうとしない。
「れも確かに遅いよね。」
「どうせそこら辺の幼女にでも興奮してんじゃないのかい?」
「そんな、ノイズじゃないんらから。」
「人をロリコンみたいに言わないでよ。そういえばヴェルちゃんの後ろに見知らぬ人の小舟があったけど…まさか誘拐とかされてたりしてね。」
「まっさかー」
「さすがにそれはないない、らってヴェルらよ?」
あははははと和やかに笑いながら、カタンとアルヴァートを立ち上がる。
代わりに膝に乗せていたラルドを座らせて頭を撫でると、そのままコートも羽織って歩き出す。
明らかに外に行く様子の彼に、ライノルズがわざとらしく声をかけた。
「おやアヴァン坊や、どちらへ?」
「まだ帰って来そうにないから散歩。」
「ふぅん、じゃあヴェルちゃん見つけたら拾って来てね。」
「見つけたらな。」
そのまま歩き去る彼を見送って、ディランとカタリーナはくすくすと笑い出した。
その様子にラルドは首を傾げるが、ディランもカタリーナも、ただ笑うだけだった。
「僕らの船長も素直じゃないよねぇ。」