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カンカンと、板を打ち付ける音が響く。
アーリアが乗り込んだ際に壊れた部位を修理しているのだ。
船自体にそれ程の傷は負わなかったのだからそれもやがて終わるだろう。
そう考えながら、ライノルズは一人海を見た。
穏やかな海。
船上の様子もいつもと何も変わらない。
いや、“変わらないように”努力されている。
「…責めればいいのに。」
ポツリ、呟いた。
「船長も君もみんな、本当に人が良すぎるよ。僕がしっかりしないからだって、責めればいいのに。」
「あんたにそんなマゾ気質があるとは知らなかったよ。」
「楽になりたいだけだよ。」
傍で聞いていたカタリーナにそう返して、ライノルズは自嘲する。
本当なら引き留める事くらい出来たのだ。
だがライノルズはそれをしなかった。出来なかった。しようとしなかった。
だが誰もそれについて何も言わない。
それを指摘すれば、カタリーナは至極面倒臭そうに髪を掻いて、空を仰いだ。
「…船長が、何も言わないんだ。アタシらが何か言えるわけないだろ。」
船先でぼんやりと空を仰いでいるこの船の主の背中を見て、そう呟く。
ライノルズもその背を見て、あの癖は彼女譲りだなぁと小さく笑った。
そして、つまりは彼がまだ、足踏みしているだけなのだとも理解する。
「…リーナちゃん、他のみんなに伝えてくれる?」
「なんだい?」
「船長が号令をかけたらすぐにリアンジェカまで動けるようにしときなって。」
そう言った彼にカタリーナは一度キョトンとした後、すぐに意味を読み取ってふっと笑った。
「…了解。」