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あの日から海軍になってまで探した人物が今目の前にいる。
その事がどうしようもなく嬉しくて、アーリアは恍惚の笑みを浮かべて彼を見た。


「ずっと探していました…ようやく、見つけた。」

「そんなに思って貰えるなんて愛されてるねぇ僕。」

「そうですね。愛していますよ殺したいくらいに!」


勢い良く床を蹴って、ライノルズに切りかかる。
ライノルズはそれを紙一重でかわすが、いまいち動きが鈍い。

特に右側はうまく動いていないようだ。
よたよたとした足取りの理由に一つ思い当たって、アーリアは心底嬉しそうに笑う。


「もしかして、右足が上手く動かないのですか?」

「昔に威勢のいい子に噛まれちゃってね。」

「それは大変。ならずっとあなたの中に私は存在していられたのですね。」


突き飛ばすように床を転がして、そのままライノルズの上に乗り掛かるようにして彼の頭のすぐ横に刀を突き立てた。

完全にライノルズの負けだ。
彼女は強くなったし彼は弱くなった。

特に抵抗をしない彼に、アーリアは刀に手を置いたまま深く俯く。
それでも彼からは丸見えだ。
彼女は何かを堪えるように、静かにライノルズに問いかけた。


「…どうして私を置いていったのですか。」

「さあ、なんでだろうね。」

「…っ」


ゴッと刀の柄でライノルズの頬を殴る。
望んだ答えが返ってこないことに堪えきれなかったらしい。

今にも彼を殺しそうになるのを堪えて刀を放り、ライノルズの胸ぐらを掴んで持ち上げる。


「このタイミングで現れたという事は、AAAとあなたには何らかの関係があるという事でしょう。あいつの所にはディランがいる。私と同じようにあなたの所にいたあいつが!あいつがあなたの近くにいられてどうして私があなたの近くにいられないのですか!」


もう自分でも何を言っているのかわからなかった。
ただただ答えが欲しくて欲しくて。
だから彼女は言葉を吐き出す。
今も無表情な、彼に向かって。


「答えろ!ライノルズ!」


彼女のその言葉が合図だったかのように、轟音を立てて塔の二人がいる港の真上の部分が崩壊を始めた。

爆発したのだと理解した時にはもう遅く、いくつもの瓦礫が二人に向かって降り注ぐ。落ちていく。

確実に船の港など保たないだろう。
何かに腕を引かれたような感覚を残して、アーリアは意識を手放した。