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「あーあーったくぅ、貴重な陸から伸びる塔をこんな簡単に壊すなよなぁ。」
ガシガシと頭を掻きながら、シェントは自分の視線の先にいる人物に話しかけた。
相手は彼に気付くとにっこりと立ち上がって、持っていた爆弾の起爆スイッチを放り捨てる。
「それは悪かったなぁ。でも許したって。うちかて可愛い子供の為に頑張りたい思うんよ。」
「それはいいけどよぉ…あとで怒られるのが嫌なんだっつー。」
めんどうそうに笑って剣を構える。
相手も、くすくすと笑って持っていたらしい長斧をその手に持った。
前に会った時は持っていなかったものだ。
物珍しそうに見て、シェントはヴェルディを挑発するように笑う。
「今日は戦ってくれんのかぁ?」
「もちろん、ちゃあんと用意しとったで。あんたちゃんと気付いとるみたいじゃから言うけど、これ時間稼ぎが目的じゃし。」
「あんなオヤジの命令より、あんたみたいに可愛いやつと遊んでる方がずっといいからなぁ。」
「いややわぁ、うまいんじゃから。仕事は大事にせなあかんで?」
くすくす、くすくす。
笑い合う。
そしてゆっくりと視線を交える。
「テメェの信念さえ貫くならいいんだぁ。そんでそういう相手にはちゃんと全力を出す…そう決めてんだよ。」
「奇遇やなぁ。うちも自分の守りたいもんは何があろうとも守れっちゅー教育しとってん。」
それは少女に言われたから。
それは少年に言ったから。
それぞれにそれぞれの子供も思い描いて、ニィと強気に笑う。
「…んじゃ、楽しませろよぉ?飽きたら行っちまうからなぁ!」
「楽しみ過ぎてうちに惚れたって知らんよ!」
そして武器を、交差させた。