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そんな昔の事を思い出して、アルヴァートは小さく笑った。
たった三人から始まったそれは、カタリーナを始めにしてたくさんの仲間が集っていった。
それぞれとの出会いは覚えているし、その都度ヴェルディが嬉しそうにしていた事だって覚えている。
「やっぱ、大切だよなぁ。」
そう呟いて、再び鎖を外そうと試みる。
だがやはりビクともしない。
やっぱ使えねーとため息をついて、せめて先程聞こえた騒ぎは仲間達が無事脱走出来ただけであり、みんなでラルドのいるヴェルディのもとへ逃げおおせたのである事を願う。
自分は彼らがいて幸せだった。
だから今度は自分が彼らに返す番だ。
そういう事なんだろう、と誰にでもなく問い掛けて、アルヴァートは目を閉じる。
ここはきっと、青の底だ。
空と海との境目、どちらを頂点にしても境目が終わり、それぞれの青の底。
そこを自由に泳いでいた自分に、もう光はいらない。
それは彼らに渡すべき光だ。
だから、今はどうか彼らが無事でありますように。
そしたらきっと、またみんなで生きられるから。
す、と息を吸い込んだアルヴァートに応えるように、一筋の光が彼を照らす。
扉が、開いた。